ワルツ(男古)

 


男鹿は馬鹿だ。
そしてあきれる程に単純で、喧嘩のことしか頭に無いのではないかと思う位毎日そこら辺の不良と殴り合っている。また古市に対して傍若無人且つ、我儘で理不尽な態度をとる。
古市にはそれが我慢ならない。そこが男鹿の嫌いな所だとはっきり断言できる。

しかし古市は、男鹿が優しいことも知っていた。それはほんの些細で、さり気ないものだから気付く人は本当に少ないけれど。
そしてその優しさは古市に対しては特に顕著だ。進路相談があった放課後は古市が職員室から戻るのを待っていてくれたし、失恋した翌日はフジノのコロッケを半分わけてくれた。何だかんだで、男鹿は古市に甘い。そして古市は、男鹿と喧嘩をする度に日常的に与えられていたその甘さを痛感して、隣りに誰もいないことを悲しく思うのだ。

喧嘩の理由は忘れた。
だけれどどうせ、取るに足らないようなくだらない原因であることは経験上分かりきっている。明日になったら謝ろう、と古市は思った。男鹿がいなくなってしまうことに比べたら、彼の嫌いな所の一つや二つ何てこと無いのだ。






***
実は男鹿も同じこと思ってる。








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