廊下は走っちゃいけません


 



「今日のLHRはテスト勉強だってさ」


他校の奴等に呼び出されていて(まぁ俺がけしかけたんだけど)きっちり10分でそれを片付けたらしく授業に遅れてきたシズちゃんに声をかける。

担任が出て行った教室はざわざわと騒がしいので、少しだけ声をはって。


「テスト勉強?」
「うん、明日からでしょ期末。」
「そうだったか?」


ふうんとか何とか言いながらシズちゃんが自分の席に戻ろうとする。


「待ってよ」
「…うぜぇ、放せ」


咄嗟にシズちゃんの手首を掴むと、シズちゃんは唸るような低い声で威嚇してきた。

なんか…猫みたい。
こんなでかくて愛想無い猫要らないけどね。
ま、そんなことどうでもいいとして。


「まぁまぁ、そんなにキレないでよ。」
「はやく言え」
「シズちゃんって本当に短気だ。せっかく勉強教えてあげようと思ったのに」
「勉強?」


怪訝そうな表情でシズちゃんが俺をみる。


「そ。シズちゃん後期の単位いっこも落とせないでしょ?進級できなくなっちゃうもんね」
「なんで手前が知ってんだよ」
「企業秘密です」


にっこり笑って言うと、思いっきり嫌そうな顔をされた。


「手前に教わる位なら新羅に頼む」
「それはちょっと迷惑だな、私今日セルティとイチャイチャする予定だからこれから早退するつもりなんだけど」


どこから沸いてきたのか、新羅がシズちゃんの隣に立っていた。
…イチャイチャって死語じゃないの?
ていうか妄想でしょそれ。


「…まぁ新羅なんかは置いといて、ほら早く数学の教科書持ってきてよ」
「俺はまだ了承して「中間テスト14点だったくせに?意地張ってないでここは甘えときゃいいじゃない」
「……新羅」
「ほらほらもう君達目立つしうるさいんだよ、静雄これ、教科書。そんなつまらない喧嘩見てて面白くないから止めてよね。あと臨也、新羅なんか、は酷いんじゃない?」


はぁ、とわざとらしくため息をついた新羅は、渋い顔をするシズちゃんに無理矢理教科書を押し付けると、じゃあねとひらりと手を振って教室を出ていった。


「勉強しよっか、シズちゃん」
「……手前が勝手に、だからな。別に俺が頼んだ訳じゃ…」


何やら小声でブツブツ言ってるシズちゃんを隣の席に座らせて(その席の持ち主は笑顔を向けたら何故か顔を青くして瞬時に席を退いてくれた)、やっと自分も椅子に腰をおろす。


椅子に座れば目の前には、何も始めていないのにもう飽きたように憂鬱そうな目で遠い黒板を見つめるシズちゃん。



課程はどうであれ、まぁ計画通りになったんだから良しとしよう。


俺がなんでわざわざ覚えが悪いシズちゃんなんかに長い時間をかけてまで勉強を教えようと思ったかなんて、そんな野暮なこと、聞かないでよね?




*****
なんだかだらっとしてしまった
臨→静になったよかった
ちょっとみんなお喋りすぎる?


 










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