アリスと泡沫逆夢2

 



「古泉…お前は俺になんて言って欲しいんだ?」
「ひどいです。質問したのは僕なのに、」
「参考にしようかと思ってな」


あぁ確かにこれは俺が酷いかもしれんが、まぁこれくらいは譲歩してくれ。
というか俺は古泉の質問に答えてやろうとしているだけで、別に何も悪いことはしていないはずなんだが…まぁいいか。


「……僕は、」


ピピピ、と続く言葉を遮り電子音が鳴る。


空気を裂く人工的なそれは、やけにはっきり耳に入ってきた。

うろたえる古泉をちらりと目線だけで促すと、古泉は少しの逡巡の後ポケットの中から携帯を取り出し、ひとつ深呼吸をすると電話に出た。


「…もしもし、……はい、はい。わかりました」


携帯を片手に古泉が言葉を紡ぐ。

光るディスプレーを閉じるとひとつため息をつき、古泉は申し訳なさそうに席を立った。


「閉鎖空間が発生したようです。そこまで規模は大きくないようですが、どうやら僕も行かなくてはならないようです」


何やら大変そうだな、と無関係を装い労ってみる。
古泉は一瞬据わった目でこちらを一瞥し、そう思うなら日々の行動で僕を労って下さいと珍しく嫌味を言ってきた。


「ではそろそろ僕は行きます。」


足早に部室を出ようとする古泉の背に、さり気なさを纏わせ一言。


「俺はお前が隣にいるなら、世界が滅んでもいいとは思ってるぞ。」


選ぶとか選ばないとか、そんなことを悩む日々はもうとうの昔に過ぎてきた。

いまはお前が隣にいる、それだけでいいんじゃないか?



振り向いた古泉はまた泣きそうな表情だったが、頬を染め困ったように笑うその様は、本人には死んでも言わないがとても綺麗だった。




(僕もそう思います…たまに)
(おいコラたまにってのはなんだ古泉)



****

あまい…



 










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