長い長い彼の話
長い長い彼の話
「大体あなたは全ての物事に対して無関心過ぎるんです。そんなことだから後々無駄にやることが増えたり、時間に余裕が無くなったり、後悔することになるんですよ。あなたは自分や世間に対して気配りをするべきです。流されるのでは無く、もっと自主的に行動しなければいけません。
…あの、聞いてます?」
「おー、聞いてる聞いてる」
「…もういいです。あ、戸締まりは忘れないで下さいね」
「はいはい」
「夕食は冷蔵庫の中にありますから、ちゃんと食べて下さい」
「分かった分かった」
「……じゃあ、僕はこれで」
「あぁ」
ギィ、パタン。
耳によく馴染む流れるような美しい音は、無機質な扉に遮断されるように残響も残さず刹那に消えた。
長い長い彼の別れ話
(こんなことになるなら、もっと大切にすればよかったなぁ)
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