わたしの太陽

 
 
 
 
疲労感と倦怠感に支配された脳裏に、この灰色の世界で尚燦然と輝くものを見た気がした。


崩れた瓦礫が散らばるコンクリートに横たわったまま、力の入らない身体を動かそうと試みるが、鈍く軋んだ音を立てるばかりで少しも動けない。


死ぬかもしれないこんな状況に思い起こすのは、現況をつくりだした張本人である彼女の明るい笑顔ばかりで、僕はそれに幾度憧れ、救われてきたのだろうかとふと思う。


(何度も何度も嫌悪したのに、優しい貴女に僕はいつしか焦がれていた)


強大なる神人が振り上げる腕を避けながら戦う赤い同志を見て、僕も血と砂のこびりついた身体を無理矢理起こす。


ここで倒れているばかりでは何も変わらない。

世界の破滅や改変なんて、今の彼女は望んではいないのだ。


(ねぇ涼宮さん、僕は3年前からずっと貴女を見ていた。)

(こんな力を与えた貴女が、僕らを傷付ける貴女が疎ましくて、僕を選んでくれた貴女が、寂しさに震える貴女が愛しかった。)

(僕はね、いつか貴女が本当に幸せになってくれたら、例え消えたっていいんです)


矛盾した想いを抱えた僕は彼と出会ってからずっと、神としてではなく、一人の少女である涼宮ハルヒを守りたいと、思っていたのだ。



(だって笑う貴女はまるで、)





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失う前に気付けて、よかった













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