夏の階段

 
 
 
 

「こんにちは」
「ああ」


じわりじわりと焼け付くような太陽と温度が、開け放った窓から時折髪を揺らして過ぎてゆく風に冷やされる。


電気を点けなくとも明るい日差しの入る部室には今、キョンと古泉しかいなかった。


蝉がじりじり鳴くのを聞きながら、古泉は肩にかけていた鞄を足元に下ろし、パイプイスに腰掛けた。


キョンは頬杖をつきながら、窓の外の青い空を見つめている。

古泉はそんなキョンの、ワイシャツの半袖から伸びる少し日焼けをした腕をちらりと見た。


「…お茶でも淹れましょうか」
「いらん」


古泉がほうと息をついたあと、微笑みとともに口にした言葉をキョンが一蹴すると、部室内には沈黙がおりた。


耳に入るのは木々の葉擦れの音と、水の膜越しのように遠くから響く他の生徒の声。


古泉はじいとキョンを見つめ、こくりと喉を上下させた。


「キョン君…」
「何だ」
「キス、しませんか?」


まるで哀願するように小さく、また彼らしく無い不安の混ざった声で問われたそれに、キョンは漸く視線を古泉に滑らせ、ゆるりと唇だけで笑った。


「お前がちゃんとおねだり、できたらな」



返ってきた不遜な声に、古泉はうっとりと目を細めた。



****

ご主人様キョンと
キョンの腕に欲情するわんこ一樹

私だけたのしい^^













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