めざせ毎日更新
 


君は天使
2011/11/19(Sat)


しろくてまるくてつやつやしている、卵。
くろいひび割れにピンクの爪をたてて、ぽろぽろ小さく殻を剥がしてゆく。やわらかいフォルムが心をくすぐる。ああ、命のかたまりの、重さを感じるわ。

「食べないの」

目の前には、きらきらした可愛い恋人。金色の髪には天使の輪、青い瞳は澄んだ海のよう。その整ったうすい唇が、いのちを捕食せよと宣う。

「食べるわよ。でもあたし、その前にしたいことがあるの」

そう言えば、興味深そうに身を乗り出して、わたしの卵を持っていない方の、右手を握る。

「わからない?」

小さな意地悪をするの、大好きなのよ。
彼はすこし驚いた表情をした後、ああと呟いて私を引き寄せた。

アクアリウムの魚が、青いゼリーの中で怠惰にくるりと回る。
優しく微笑みながらわたしを見つめる彼が、見えなくなった。

(サンナミでキス)
(サンジくん可愛いってわりと本気で思ってる盲目ナミさん)



猫の目
2011/09/24(Sat)


部屋は薄暗い。
月明りがぼんやりと物の、目の前のひとの輪郭を照らしている。
普段は寝相が悪いのに、こんな時ばかり自分を包むように優しく腕を貸してくれる鷹村が宮田はずっと昔から好きだった。

朝になればまた何事も無かったように別れるのだろうか。きっと鷹村は笑って宮田を送り出すのだろうけれど、宮田はそんな鷹村の顔は嫌いかもしれないな、と沈む意識の中で思った。

(鷹宮なような鷹+宮なような)
(寂しがってほしいような違うような)



先生仁王×生徒柳生
2011/08/01(Mon)


「仁王先生って、不真面目です」
「まー否定はせんけど」
「どうして先生なのにこんなことするんですか」
「柳生がしてって言うから」
「…言ってません」
「でもノートに書いてたじゃろ、何つったかの、ポエムで」
「勝手に見たんですか!?」
「わざわざ机の上に出してあったけぇ」
「ひどいです!プライバシーの侵害です!」
「お、ちゃんと予習しとる。偉い偉い」
「だって社会は先生の授業ですから…って違います!」
「はいはいすまんすまん。分かったから大人しくしとって」
「…もう見ないで下さいね」
「そうじゃな。よく考えたらそんなもん無くても柳生の思考くらいお見通しじゃ」
「先生のばか!!」

(歳の差にときめく)
(子どもな仁王先生萌える)



寝坊
2011/07/29(Fri)


「姿が見えないと思ったら堂々と部室でサボりですか。全くいいご身分ですね」

ポスンと頭に軽い衝撃、と共にえらく冷たい声が投げられて、まどろんでいた意識が水が引く様に急激に浮上する。
数度目を瞬かせて辺りを見回すと、不機嫌そうな表情を隠そうともしない柳生と目が合った。彼の手には丸められた数学の教科書、どうやらあれで頭を叩かれたらしい。

「おーおはよう」
「今何時だと思ってるんですか」
「時計も携帯も家じゃ。とりあえず夕方かのう…おそよう?」
「ああもう、あなたと話していると頭が痛くなってきます!もう良いですから、早く口元の涎を拭いて着替えてコートに来てください!」

柳生は本当にからかい甲斐のある奴だ。扉の向こうに消える背中を見送って、思わずふきだしてしまった。

(仁王と柳生)
(仁王はこのあと幸村にイップスされる)



遠距離恋愛
2011/04/20(Wed)


どうしてそんなに生き急ぐのかと、聞いたことがある。彼はもっと器用に歩いてゆけるのに、どうしてか波乱を好んでいたから、その様を見ていると鈍い心臓の奥が微かに軋んで苦しくなった。
尋ねたら彼は笑って、お前が好きだからだよ と言った。

抱き締められている自分がひどく、大切なものになったような気がした。形もなにもわからない、とても、尊いもののような。
身体の隙間を埋めるように、肌の輪郭を溶かすように、彼は俺を腕のなかに閉じ込める。
そうして囁くのだ。

「宮田は本当に遠い。手を伸ばしても届かないんだから、俺がそこまで行くしかないだろ?」

一つ一つ確かめるように言われたって、どういう意味なのかはよく分からなかった。こうして触れられる距離にいるのに、遠いだなんて。
俺にはそんな彼の心が、目を背けたくなるほどに、遠い。

(気を使いすぎな木村さんと鈍感な宮田)
(木宮は好きだけど難しい)




恋敵
2011/03/29(Tue)


長い睫毛が瞬きと共にふわっと揺れるのを見て、もやもやとした黒い感情が心に広がった。おんなのこじゃないのに、ずるい。じいっと睨みつけてたら、ドロロ先輩が振り返った。気配に敏感な先輩だから、本当はもっと早くから僕の視線に気付いてたはずなのに。そういう所もずるい。

(僕の方が、軍曹さんのことを好きな気持ちはずっとずっと大きいのに!)

可愛さなら僕の方が上だし、僕の方が軍曹さんの趣味を理解してる。悔しい。どうして軍曹さんは僕を選んでくれなかったのだろう。何故彼なのだろう。僕のどこが嫌なのかな。子どもっぽいところ、ワガママなところ、嫉妬深いところ?軍曹さんが望むなら、きっと治してみせるのに。
行き場を無くした想いはいつも堂々巡りで、それを自覚する度にすごくみじめな気分になる。いっそ嫌いになれたらいいのに、と何度思ったことだろうか。軍曹さんは優しくてあたたかくて眩しいから、悲しいことに結局は惹かれてしまうけれど。それとも、この気持ちを持ち続けていれば、いつかは報われるのだろうか。そう縋ってしまう自分が、卑しい。
見えない振りをしていれば堪えられる。気付かない振りをしていれば避けられる。だから今は何も言わずに、絡んだ視線を逸らすのだ。

(タマ→ケロドロ)
(可愛いタママを書こうとしたはず…)



二次元少女
2011/03/28(Mon)


画面の中で彼女が笑った。触れられないから、すごく苦しかった。さわれないけど、生きている。僕とは違う世界で。

「リン」

そっちは楽しい?僕には優しい姉も、歌のうまい兄もいないから、君が羨ましいな。
ねぇ、心の中ではいつも君を想っているよ。君は僕の存在を知っているのかな?知っていれば、いいな。

(リンレン)
(本当は別の世界の存在である彼らがすごく好き)



きみがすき
2011/03/28(Mon)


宮田は誰から見ても美人だ、一歩は思う。
大きなアーモンド型の黒い瞳は宝石のようだし、さらりと風に靡く髪には天使の輪が輝いている。
微笑みを刻むことが少ない薄い唇はそれでも見とれる程の艶をもち、女性的で華奢な白い身体もゆるやかな曲線美を描いていて、非常に好ましい。
例え毎日、ジムの飾り気が無い白いTシャツを着て、学校指定の地味な紺色のスカートを膝が隠れる長さで穿いていたって、彼女のもつ凛としたオーラが消えることは無い。
それどころか青年期特有の瑞々しい清廉さをまとっているようで、なおさら人を惹き付ける。
色気のない服装だとは言え、宮田がそこに居るだけで一歩の頬が紅潮してしまうのも仕方ないことなのだ。
鷹村や木村、青木など古くからジムに通い、宮田と親しい間柄の人物が彼女と談笑しているのを見ると、一歩は何とも息苦しい気持ちになる。

(僕も宮田くんと喋りたいなぁ…あっ、たっ鷹村さん!そんなに近付いたら駄目ですよ!あまつさえかっ肩なんて組んでー!!)

ちらちらと横目で4人の動向を気にしながら、一歩はシャドーを続ける。
形にすらなっていないそれを咎める者はこの場におらず、いつもなら真っ先に嫌味の一つでも置いて行く鷹村は一歩など視界に入っていないようで、不機嫌そうな宮田を引き寄せるように肩を抱き、彼女に何か耳打ちをしている。

(あぁぁ何を話してるんだろう…気になるけど聞けない!)

気を紛らわせるように顔を逸し拳を打つ一歩は知らなかった。宮田がその大きな瞳で一歩の姿をとらえた途端、頬を赤く染めて小さく微笑んだことを。

(一宮は焦れったさNo.1カップル)
(宮田くん好きすぎて辛い)
(文章ぐにゃぐにゃ)




春は恋の季節
2011/03/25(Fri)


肌寒い風が吹く。
数歩先を歩く彼は、まるで羽が生えているかのように軽やかな足取りだ。それに比べて、私は。
置いていかれるのは怖いことだと漠然と思った。彼は前しか向かないから、後ろを歩く自分が突然立ち止まってもきっと気付かない。どうしよう、声をかけてみようか。
悩んでいると、前触れもなく彼がくるりと振り返った。
視線が重なる。

「どうしたの?」
「なっなにが」
「俺のことずっと見てたじゃん」
「別に見てないし」
「ふーん」

ああ素直じゃない。可愛くない。彼の意識が自分に向いていることが何より嬉しいのに、それを伝えられない。

「ま、いいや。行こっか」

私が躊躇した数歩の距離を、彼は易々と埋める。そうして私の右手をとって、また軽やかに歩き出した。
いつもは決して後ろを向いたりしない彼が、私のためだけに振り返る。それはなんだかすごく幸せなことのような気がして、私は密かに微笑んだ。何だかんだいつも、小さな悩みごとくらい、一緒にいるだけで彼が魔法のように消してくれるのだ。

(サンナミ)
(どちらも言葉にしないけど、相手の優しさだけは何となく伝わる)





2011/03/23(Wed)


「うちさぁ、妹の雛人形まだ出したままなんだよね」
「あれ幸村って妹いたっけ」
「うんいる。めちゃくちゃ可愛いよ」
「…それ真田と赤也の試合見ながら言われても」
「誰の試合見ながらでも言えるよ?」
「いやうんそういう事じゃなくて…まぁいいや、で、雛人形出しっ放しだから何?」
「あれさ、3月3日過ぎてからも出したままにしておくと婚期遅くなるって言うじゃんか」
「へーそうなんだ。知らなかった。俺弟しかいねぇし」
「迷信じゃ無いといいなぁ」
「え?」
「だから、本当に婚期逃せばいいのになって思って」
「あの…何で?」
「だってあんなに可愛い子なんだよ?結婚なんて…まぁ相手が俺ならいいけど、そうもいかないじゃないか」
「微妙に常識的な発言だな」
「はぁ、早く帰りたい」
「今更だけどこの部活大丈夫かな…俺ほんとに不安」

(幸村がシスコンとか萌える)
(話し相手はブンちゃん)


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