狂おしいほどに惹かれてしまう
オレは正直小平太が嫌いだ。嫌いというより、いや嫌いなのかもしれない。理由は特にはない、人に好きも嫌いも理由は無い。雰囲気で察する。
鍛錬は互いにそれを欲しているからだ。だからついでに一緒にやる、ただそれだけ、それ以外は特に一緒ではない。
だが、目に付く。
嫌いなものほど目に付くのだろうか。委員会でドッチボールをしているだけなのに小平太を目で追ってしまう。それに気が付いたのは三木ヱ門だった。
「先輩?」
そう声をかけられるまでは俺は廊下にずっと立ち尽くしていただろう。どうしたのですか、とさらに問われるが。なんでもない、と呟いた。
それから、目で追ってしまう自分にイライラしはじめた。隣室の仙蔵にはそれがわかるのかただ俺を呆れた目で見た。それだけでもイライラする。
「よお、もんじろ!」
ある日 小平太から声をかけてきた。ああ嫌だ嫌だ、心で腐の渦が巻く。
「なんだ」
「今日、鍛練するか?」
「いや、今日はしない」
そう言えば何故かムッとした表情になった。
「最近一緒にしてない、つまんない」
そう、実は鍛練はしている。だが小平太とではなく、一人で。俺は嘘を吐いて避けているのだ。
「そうか?1週間前しただろ」
「そこからしてない、なあ、いつやるの?明日?」
「、明日だな」
「やった!じゃあ明日いつもの場所で!」
いつもの場所、いつからそんな風に仲良くなったのだ。いつもの場所なんか知らぬのに。
明日の事を思えばただ欝でしかない。今日もずっと小平太の事を考えていたことは文次郎には気付くことは出来なかった。
「文次郎!ここ!」
鍛練の場所へ行けば小平太が居た。じくりと、胸が疼く。
「さっさとやるか、っが、!」
小平太へ声をかけ終えると同時に、腹部に強い衝撃がかかった。そのまま側の木にぶつかりずれ落ちる。
顔をあげる前に前髪を捕まれ上を向かされる。
「なにす、っ?!」
今度は枯れ草の上へ放り投げられ、起き上がる前に小平太が覆い被さり拘束される。
「ねえ、もんじ」
行動とは裏腹に優しい声、だが拘束している腕からは骨が軋む音がする。
「ねえ、もんじ 聞いてほしいことごあるんだ」
俺の返事も聞かず続ける
「いまね、すごく手に入れたいものがあるんだ、何だと思う?」
小平太の口が俺の耳に付く
身体が無意識に震えているのに気づかない、耳元では呼吸を取り入れる音と舌の動く音しか聞こえない。
「ねえ、なんだと思う?」
「わ、わからん」
そう言えば
小平太には似合わない含み笑いが響いた。
「わかってるだろ?ほんとは、だってもんじだって手に入れたいものがあるんだもん」
なんだと?何を言っているんだこいつは、訳がわからない。理解できない、
「おれだろ?ほしいのは」
「なにいってんだおまえ、どういうい、」
「嘘はよくないなあ、おれが、ほしいんだろ?」
れろっと耳に舌を差し込まれた瞬間、俺のなかでなにかが弾けた。
気がつけば小平太の首を手首に血管が浮き出るくらい締め付けていた。
「ぐっ、く、もんじっ」
「おまえにはわからんだろう、おれはお前が嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ」
「っ、うそつけ、いつも見てくる、ぎっ、くせに」
「ちがう!お前が嫌いだからだ!」
こんなに締め付けているのに小平太は笑う。それが俺はこわくなって思わず手を緩めた。そのわずかな隙に俺の襟を掴み引き寄せられる。大きな視線が俺の隈だらけの目を
刺す。
「まだわからないの?もんじは私のことが好きなんだよ。大好きなんだ、だって」
私がもんじのこと大好きなんだもん、はやく私のものになってよ。なんとまあ、自意識過剰なことだ、こいつが本当に恐ろしく感じた。
あいつは俺のことが相当好きなようだが、あいかわらず俺は小平太が嫌いだった。
おわり
「しあわせなデジャヴ」昭人様の七松×潮江オンリー企画に参加しました!ありがとうございました!!
どういうことなんだ・・・。嫌いだといいつつ実はスキだった。といいたいところがやっぱきらいだったということです。あと私はこへいた→→>>>越えられない壁>>>→→もんじ→、がすきです。
でも こへ→←もん もすごくすきです。
06:狂おしいほどに惹かれてしまうREC様
ご参加ありがとうございました!
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