「やあ、調子はどうだい。」
「悪くないです。あなたは?」
「あと少しの所で絶好調だよ。君が彼との実験を成功させてくれたらね。」
「マース博士と言いましたか。」
「そうだよ。」
「その、彼は、怖い人ですか?」
「怖くはないよ、ただ使い方を誤らなければね。ベルの扱い方はさっき教えた通りだ。禁則事項だけ守っていれば、君に危害はない。」
「そうですか。」
「一日に一度、朝[削除済]時に監視員がこの部屋を訪ねる。その時、君と彼に質問をするから正直に答えてくれ。」
「わかりました。」
「明日の朝は私も一緒に来るからね。じゃあ、頼んだよ。」

「待たせたね、彼がデーズさんだ。」
「よろしくお願いします。」
「デーズさん、彼女が被験者662-Aだ。」
「お初にお目にかかります、お嬢様。」
「要項は先程説明した通り、今からこの部屋で生活をしてもらう。まあ、二人とも仲良くやってくれ。」
「かしこまりました。」
「(出て行っちゃった……、どうしよう。こわいな。わたし、しんじゃうのかな。)」
「先程も申し上げました事を大変恐縮ですが、改めて自己紹介をさせて頂きたく存じます。本日からお嬢様にお仕えする任を頂きました、デーズとお呼びください。」
「あっ…あ、は、はい、わたしは……、わたしは……。」
「どう致しましたか、体調が優れませんか。」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。あの、あなたに……デーズさんに、名前を教えてもいいのかわからなくて」
「ご迷惑でしたらお教えくださらなくても結構でございます。ですが、大変申し訳ございません事に、私めはお嬢様のお名前を存じております。」
「えっ!?あ……え、あの……はい……。」
「大変恐縮でございます、お嬢様。今後とも、何なりと仰せ付けください。」

仰せ付けだって……。わたしまで恐縮しちゃうな。でも、このひとも、SCPなんだ。さっき会った優しいお兄さんも、お医者さんに手術されて、死んじゃったんだって。パソコンから聞こえた声がそう言ったの。だから次はわたしの番なのかもしれない。わたしはこわい。
 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -