きっと、僕がきみを好きなのは、純粋無垢なきみといれば穢い自分も綺麗でいられると思っているからなのです。
 きみから真っすぐ向けられる純粋で綺麗な思いを、僕は裏切ってしまっています。同じものを返すことの出来ぬ自分が憎らしく、そしてとても苦しい。けれど、ずるいと理解していながら僕は、僕から先にそれを捨てることは出来ませんでした。きみには純粋なまま、綺麗なまま、成長してほしいと願いながら、その純粋さに僕は縋って、離せないでいるのです。僕のような穢いものが、きみの傍にいてはいけないと云うことくらい、よくよく熟知しているのに、きみが僕にくれる甘く優しい感情を未だ手放せずにいます。
 ただきみが眩しくて、羨ましかっただけなのかも知れません。失ったものを諦められず、ふれていれば戻ってくるのではないかと、淡い期待を図々しくも抱いていたのかも、知れません。失ったものを取り戻すことなど不可能であると滑稽にも僕は知りながら。
 きみは眉間にきゅっと皺を寄せて、それでも静かに聞き続けてくれました。きっと、きみには意味のわからぬ言葉ばかりだったでしょう。ずるいと思いながら、僕はわざと、難しい言葉を選び続けました。そうです、それは僕が僕自身に対して行った懺悔であったのです。

「穢くなんかないよ」

 きみはそう言ってくれました。ずるい僕はきみがそう言うだろうとわかっている上で告げたのです。そんな僕のいったいどこが、穢くない、だなぞと云えるでしょうか。
 僕といっしょにいる限り、きみは絶対に幸福になどなれない。わかっているのに怖くて、手放すことは無論、今以上には近付けない、僕の醜さをどうかきみが気付きませんように。さっき薬を大量に頬張った、僕が、もう2度と目覚めずに、きみを独りぼっちにしてしまっても、どうか、きみが泣きませんように。
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