<概略>
エルヴィン団長誕生日お祝い/団長が狡い人/長サンドというかリヴァエレ前提のエルエレ/
団長が右腕を損傷したすぐあとのつもりで書いてます。





 

 


 同じ時代に生まれたのだ。世代は違っても。前世も来世も何にも知らない。同じ次元に在ることの純粋が、まるで日常になると謂う奇跡が──罰として現実となっただけだ。扉の隙間に見える、子供が、入ろうとして入れずにいる。幾度も狼狽してただ罪悪感に押し潰されている。

「こちらにおいで、エレン」

 エルヴィンがそう名を呼んだだけ、たったそれだけで、扉向こうのエレンの肩がびくりと震えた。エルヴィンは小さく苦笑し、改めて子供を呼ぶ。

「エレン」

 すると意を決したように、しかし涙で頬を濡らした顔を俯けて、数秒かけてエレンはエルヴィンの寝室にゆっくりと入ってきた。

「…………だんちょう、」
「うん。エレン、おいで」
「俺…」
「まったく、どれだけ泣き続けているんだ? 目が真っ赤じゃあないか。これで拭いなさい」
「……」

 エルヴィンが左手で渡してみせたのは真っ白いハンカチだった。エレンはそれを一応は受け取り、けれど顔を拭えずただ握り締め、ベッドの上で上半身だけを起こしているエルヴィンの、右側に立っている。そこにはある筈のもの──右腕が、ない。エレンはまだ泣き続けながら、ごめんなさい、ごめんなさい、と閊え壊れたスピーカーのように同じ言葉を繰り返す。エルヴィン・スミスにはもう、右腕がないのだ。それは確かにエレンが、ライナーとベルトルトに負け、て、攫われたせいだった。エレンを取り戻すために何人もの兵士が死に、団長であるエルヴィンも右腕を巨人に食われてしまった。エレンのせいではない、とは誰にも言えなかった。エレンのせいだと責める者が同じく居ないように。エルヴィンはエレンの顔を覗き込み、顔を上げるよう促すが、なかなかこの子供は顔を上げようとはしない。エルヴィンは少しだけ、笑った。

「エレン、きみは。私の腕のことなんか気にしていないで、もっと自分を大事にしなさい」
「──『なんか』、なんて…云わないで…くださ、い。俺にとっては、兵団にとっては、大切なこと、です」

 ひどく哀しげな顔で、エレンはそっとエルヴィンの肩口にふれようとしたが、エルヴィンは少し身を捩り、左腕でその指先を捉えてエレンの手の甲へ口付けた。

「私には──私たち人類にはね、エレン、きみのほうが、ずっと大切なんだよ。きみが無事で、良かった。ほんとうに」

 視線を絡めたまま離さずに、ふわりと微笑んでみれば、またエレンの頬をつっと新しい涙が伝う。

「だ…めだっ……こんなの…ぜんぶ、俺の…」
「それでも、だよ。それでも、きみを、無事に奪還出来て良かった。だいたい、私が今までいったい何百の兵士を巨人に食わせてきたと思っているんだい。右腕1本くらい、代償としては安すぎるくらいだ」
「『無事』……? どこが、ですか……何が『無事』なん、ですか…団長には、俺…の言葉……が、通じ、ない…………」
「うん。きみにはすまないが、私は大切なことは、絶対に間違えない主義なんだよ」

 云いながら、エルヴィンはエレンの背中を左腕でそっと抱き寄せて、唇でその頬の涙を拭った。

「駄目だ…俺じゃあ、団長の右腕の、代わり、にさえ……なれない」
「ならば、エレン。言い方を変えよう。私たち人類に、きみが必要なのは当然としても、私はきみが、好きなんだよ」
「…………馬鹿言わないで、ください…悪趣味、ですよ…」
「そうかな? ──エレン、抱かせてくれないかい? 何せ、利き手が失くなって、自慰もままならないんだ。…きみにはリヴァイがいることを、ちゃんと、知っているけれど」
「…団長って……ほんとう、悪趣味なんで、すね……」

 断れるわけがないじゃあないですか──そんなふうに言われてしまえば、エレンに選択肢はない。実際、もう助からないだろう状態で何とか壁内に戻った兵士は、好きだった人間に最期、セックスを求め、求められた人間には否応がない、ような、そういう暗黙の規律があった。リヴァイが瀕死の女性兵に求められ抱いてやる場面も、エレンは既に見たことがあった。エルヴィンは次の壁外調査に出ればきっと死ぬだろう。エレンは大きなベッドの脇にどさり、と座り込んで、エルヴィンの腿を挟み膝立ちになって寄り掛かった。

「あの、団長…そんなお躰で、その……ほんとうに…………する、んですか…?」

 エルヴィンの直ぐ傍で、何だかもじもじと落ち着かぬエレンに、エルヴィンはにっこりと笑って肯いてみせる。

「おいで」

 左手を差し伸べて招けば、おずおずと指先にふれてきた。きゅっと掴んで引き寄せる。ふわりと倒れ込んできた若くまだ未発達なエレンの体躯を、エルヴィンは、1本残された腕でつよく、つよく抱き締めた。白い首筋に顔を埋め、シャツをたくし上げて滑らかな背を撫で上げる。

「……っ」

 エレンの口端から、声にならぬ小さな悲鳴が漏れた。そのまま、身に纏っている服を剥ぎ取ろうとしたエルヴィンの手を、エレンの指先が躊躇いがちに押し留めた。

「──どうかしたかい?」
「いえ……その、」
「何をすればいいか解らない、なんてことはないだろう? 普段きみが、リヴァイにされていることをすれば良いんだよ」
「…兵長に、されて…いる、こと……」
「そう。それを今日はきみが自分でするんだ」
「……俺が、する…?」
「? そうだよ、出来るだろう」

 言葉の意図を掴みかね、その顔をじっと覗き込めば──エレンは今にも泣きだしそうな顔をして、

「解り…ました。団長は怪我人、なんだから、何もしなくていいです。俺が……全部、します、から、」

 ひとりで、出来るから。と、そう小さく呟いて、エレンはゆらりと立ち上がる。そしてエルヴィンの目の前で、ゆっくりとその団服を脱ぎ始めた。月の光をしっとりと弾く、白く若い肌。時折、さらりと揺れる黒い柔らかな髪。未だ幼さを残す、線の細いその体躯。金色の大きな瞳は泣き濡れて、縋る色をして、今だけはエルヴィンだけを映す。

「綺麗だよ」
「ッ……」

 遠慮がちに、エルヴィンのシャツの釦を外し、震えながら下衣にも手を掛け引き抜くようにずらしてから、腿を跨いで再度膝立ちになったエレンへ、エルヴィンが率直な感想を述べると、だから悪趣味ですってば──と続く。

「趣味が悪いのはお互いさまさ。きみだって、リヴァイなんかを好いているんだから」

 そう返せば、エレンは眉を寄せ苦しげに笑った。

「…、んん」

 どちらからともなく、唇を寄せた。そっと触れ合って、ぬくもりを確かめて、慈しむように舌先を絡め合う。エレンは熱い舌をねじ込まれ、エルヴィンの舌とねっとりと絡ませられる。その瞬間に感じたのは、嫌悪感ではなかった。粘膜同士がいやらしく擦れる感覚に腰が疼いてしまう。エルヴィンはキスをしたままエレンの体躯をまさぐった。脚で股を割り開かせ、左手でエレンの首から腰までを幾度も撫で回した。くすぐったくてぞわぞわして、しかし矢張り、怖い。抵抗したくてもしてはならない、エレンが脚を動かそうとするとエルヴィンの躰に敏感なところが擦れてしまう。

「はぁ……可愛いよ、エレン。私におちんちんを擦り付けてくるなんて、悪い子だ」
「ちがっ、…ッぅあ、っ」

 恥ずかしい──エレンが訴えると、熱に浮かされたようなエルヴィンの目が一瞬で酷く冷たいものに変わった。エルヴィンは、愛おしいと思う心のままに、残された左腕で、その細い腰を引き寄せて、力の限り抱き締めた。直接ふれる肌のあたたかさに、思わず深い溜め息が漏れる。そしてその肌の滑らかさに、エルヴィンの、失念しかけていた欲がじくりと甦った。

「こんなところで終わりじゃあないだろう?」
「んんッ…、だんちょ、う……エルヴィン、団長……っ」

 紅潮した頬と、濡れた瞳で。エレンはゆっくりとエルヴィンから身を離した。どうやら、羞恥心が限界らしい。エレンはその白い指を口に含み、たっぷりと、唾液を絡ませた。そして腕を後ろにまわし、 無造作に自らの肉のあわいに触れた。くっ、と、堪えるために寄せられた眉根に惹かれるように、その開いた唇に口付ける。支えるために抱いた腕で、エルヴィンは今度は決してエレンが逃げられぬように腰を捉え、思うがままにその若い肌を嬲った。

「あ…うっ……んっ……」

 あいた手でエルヴィンの頭を抱き、エレンがもどかしげに身悶える。

「どうしたんだい?」

 判っていながら尋ねれば、不慣れな子供はふるふると首を小さく振って俯いたまま、応えようとしない。瞼をきつく閉ざし、唇を噛み締めながら、異物を拒むその場所を、必死で解そうとして自分を追い込んでいる。

「っ…ちょう、ごめんな、さい、兵長っ……へいちょ、リヴァ、」
「今その名前は聞きたくないな。ほんとうにリヴァイ以外の男が無理なら──」
「……っ、あぁっ」
「私にさわられたって、気持ち悪いだけの筈だろう? ……だが、おかしいな? すれるだけで乳首が勃起して、私を誘っているように見える」
「ぃやっ、だ…っ誘ってなんか……っ」

 いきなり乳首を力を入れ固くした舌先でぐり、と押しつぶされ、強烈な感覚がエレンの背筋を走った。エレンには別段、リヴァイとの性行為を比べたりする気はなかった。こんな途中で彼を呼び、謝罪までするなんて、本人にとっても無意識だ。ただ実際、リヴァイはこんな体勢ではエレンを抱かないし、行為の最中は殆ど話さない。切なげに眉を寄せて、エレンの瞳からすべてを読み取るように静かに視線を合わせ、エレンの躰に一縷の負担もかからぬよう気を付けて、普段の粗暴さなどおくびにも出さない。ただ優しい。そうだ、ただ優しいのだ、リヴァイという男は。確かにエルヴィンに、自分ですると決めたのはエレン自身であるし、エルヴィンの状態を思えば、こうなるのも致し方ないこと──今更後悔もない。エルヴィンに失望したというわけでも全然ない。けれど咄嗟に口をついて出たのだ。エレンは、こんな体位さえ、知らない。

「可愛い声だね。ここが気持ち悦いのかい? 男のくせに男に乳首を弄られて、悦いのか」
「あぁっ…はぁっ、はぁあッあ」

 舌でべろべろと乳首を舐め、ぐい、と押しつぶされこねくり回される度に、腰が跳ねて、今まで──リヴァイとのセックスでは──自分でも聞いたことのないような裏返った声が出てしまうことにエレンは戸惑っていた。

「は、…おちんちんも勃っているじゃないか。私なんかに乳首を責められて、感じてしまったんだね。可愛いよ…エレン」
「あぁっ…いやっだ、ぁあっあ…言わな、いでっ……」

 舌で乳首を弄られながら、移動した左手でペニスまで執拗にさすられ、可愛いなんて言われて。リヴァイではない男からいやらしいことをされているというのに気持ち悦いのが止まらなくて困惑している。

「ほら、ごらんよ。君のおちんちん、勃起してビクビクしているじゃないか……あァ…興奮する……」
「だって…それはっ、あぁっ……ん、はぁあっ」

 恥ずかしい姿を見ては恥ずかしいことを素直に言われて、エレンはどうにかなってしまいそうな気分だった。

「乳首、薄桃色なんだね、女の子みたいで可愛いよ。それにおちんちんも、先から濡れてきている」
「ゃっあ、見ないで…くださいっ…はぁ、ぁ……」

 リヴァイは決してエレンを女のように例えたりしない。けれどエレンのペニスは誤魔化しようもなく勃起していて、先走りで濡れて亀頭の形と色をエルヴィンにさらけだしてしまっていた。そんなあられもない姿をじっとりと凝視され、腰が震える。

「ああ…いやらしくてほんとうに可愛いよ。乳首を舐めながら弄られて、そんなに悦いのか」
「やっいや…はぁ、ぁあ…」

 エレンの頬がかあっと熱くなって、不自由な躰を捩って視線から逃れようとする。しかし弱々しいそんな行動は、エルヴィンを煽ることにしかならなかった。息を荒げながら乳首に吸いつかれ、濡れたペニスにふれられる。

「あぁっ…やっあっ、はぁっ、ぁん…」
「可愛い、エレン。乳首もおちんちんもビクビクしている…」
「あっもう、舐めないでっ…あっあっ」

 エルヴィンはエレンの充血しきった乳首をねっとりと舐めまわし、勃起した亀頭を左手のひらで何度も擦る。エレンは躰がいつになく敏感になっているようで、ひっきりなしに腰がびくびく跳ねてしまう。気持ち悦くて堪らない。エルヴィンは何が楽しいのか、エレンの乳首をべちゃべちゃと音がする程に弄ってくる。舌で小刻みに舐めたり、吸いながら歯を立てたり、ねっとり押しつぶしたり──その上でペニスも同時に責められると、もう我慢が出来なくなった。

「いやだっもう、いっちゃう、出そうだ、からっ……あっやめっ、うぁあ…っ」
「いくの? 良いよ、イきなさい、私の手と口で愛撫されて、きみがイくところを見たい」
「あっ、…あぁ……、んんッう!」

 エルヴィンは乱暴にエレンの唇に唇を寄せた。左手は親指で押しつぶすように、エレンの亀頭を巻き込み敏感なペニスを全体的に擦ってめちゃくちゃに愛撫する。舌とペニスを巧みに責められ、エレンは腰を痙攣させながら達してしまった。オナニーとは比べ物にならない刺激で、リヴァイならば絶対にしない乱暴さで、しかもエルヴィンは達している間も口腔を弄りペニスを離してはくれない。経験したことがない程、エレンの絶頂は長く続いた。

「はぁっ、はぁっ、ぁ、っうん、…んんッ」
「…可愛かったよ。想像していたよりずっといやらしいんだね、エレンきみは…」

 エルヴィンは躊躇いなく、左手で受け止めたエレンの精液を飲み干すと、うっとりとエレンの頭を撫でる。エレンはなぜか、底知れない恐怖のようなものを感じて、躰がぞくりとする。

「矢張りきみには、男に──私に愛される素質があるんだよ。あんなにいやらしく感じて」
「っそれはっ……! だって、男は、さわられたら反応しちゃうものでしょう……女じゃなくたって、」

 男ならば誰でもいい、リヴァイでなくてもいい、そのように受け取れるエルヴィンの言うことは到底いきなり受け入れられるものではなくて、エレンは必死に言い募る。

「──そう、まだそんなことを言うんだな。ならば」
「っ? な、にっ……」
「──私に、ここにハメられても、感じるわけがないよね?」

 エルヴィンは感情の読めない笑顔を浮かべながら、エレンに倣いエルヴィンもまた、自分の指を口に含んで、から、エレンの躰の奥──アナルに触れた。

「ねえ、ちょっとだけ、腰を浮かせてくれるかな」

 そう云いながら、エレンの指を引き抜いた。

「ああぁっ……ぁあっ、も、むり、あっあっ…だっあっ…」

 ──何れだけ時間が経ったのだろう。エルヴィンはエレンのアナルに指を3本強引にねじ込み、とにかくしつこいくらいに抜き挿し続けた。違和感が勝っていたのは最初だけだった。濡れた指でなかを擦られる度、ぞくぞくとした快感が全身に広がり、いやらしい声が抑えられなくなっていた。

「あぁ…あッ、あッあんッ」
「っ…はぁ、エレン、きみのなか、熱くて、柔らかいのにきつきつで……すごいよ」
「あぁ…あっあんんっ、んっ…」

 興奮しきったエルヴィンに卑猥なことばかりを言われ、なぜかその指を思いきり締め付けてしまう。時に激しくピストンしたり、挿入したまま前立腺をぐりぐりと擦られたり──何をされてもエレンは感じてしまって、何も考えられなくなってくる。

「指だけでおちんちんをこんなに勃たせて……リヴァイに開発されているからかな。最初からこんなに淫乱な反応をするなんて、思っていなかったよ。とても可愛い」
「あぁッ……ん、んっ…へいちょうは、こんなっ…乱暴じゃ、な…っ」

 またもや濃厚なキスをされる。エレンは半ば無意識に、ねじ込まれた舌に舌を絡めてしまう。そうするとひどく気持ちが悦くて、挿れられたままの指を更に締め付けるのが自分でもよく解った。

「エレン…好きだよ。きみを愛している。挿れてもいいかい? もっと気持ち悦くしてあげよう」
「んっ…や、だめです…っこんな、まだ早っ、い……はぁっ…」

 ごりっと硬くて熱いペニスが押し付けられる。ぞくぞくして堪らない。リヴァイはこんなふうに雑にエレンを扱ったりはしない。壊れ物にそっとふれるように抱いて、指も1本ずつ慣れるまで増やさない。エレンがもどかしくなるくらい──彼は優しいのだ。今エレンに判るのは、このままエルヴィンのペニスを挿れられてしまったら取り返しがつかなくなるということだけだ。絶対にいけない、これは不貞だ。幾ら大義名分を後付けしようと、それだけなのだ。なのに躰はまったく萎えないどころか、期待しているかのように熱が高まって、エレンの思考を鈍らせる。

「ほら…これ、挿れても良いだろう? 気持ちの悦いところを、たくさん突いて、きみをめちゃくちゃに犯したいんだ」
「ぁっ…待っ、おっき…」

 手に熱い棒を握らされ、ごくりとエレンの喉が鳴ってしまう。それはすごく太く硬く、びくびくしていた。大きさで云うならリヴァイと然して変わらぬが、形が全然違う──こんなものでなかを擦られたら。想像だけで痩身は震え、喉が渇いてくる。

「っ…自分では判らないか? すごくエッチな顔をしているよ。もう、我慢出来そうにない」
「っ……ひ、ァ」

 ずっしりとした亀頭が、ひくつくアナルに押し当てられた。

「『ひとりで、出来る』んだろう? 初めての、私とのセックスなんだから、これは和姦だ。ねえ、エレン。欲しいんじゃないのか? ほら……」
「あぁ…、んっ……」

 逃げ道を与える隙も見せず何を言っているのか、と正常な思考が出来る余裕などもうエレンにはない。息苦しくなる程、心臓が高鳴って、アナルは肉棒に吸い付くように痙攣している。

「っ、下の口は欲しくて堪らないと、言っているよ。上の口でも言って…?」
「っ、は…、んっぃ…欲しいっ……です、」

 壮絶に色っぽいエルヴィンの瞳から目を逸らして、残った理性を奮い立たせてエレンは何とかそう言った。ひとりで、出来るから──そう言ったのは自分だ。しかし。

「うあっ、あっあ゛っあ゛ああああァっ…」

 ずっ、ずっ…と、脳天に響くような音を立て、ずぶずぶと鳴る。ゆっくりと腰を下ろしアナルにエルヴィンのペニスを挿れようとしているエレンに、無情にもエルヴィンは、待っていられないとでも言いそうに、ペニスをアナルへ捻じ込んできた。

「ん゙あ゙あ゙ッ」
「あァ…熱い」
「い゛やっあ゛っあっひっ、!」

 エルヴィンは欲情しきった顔で、痙攣するエレンの腰を掴むと、狭いなかをこじ開けるように推し指し続ける。

「ああうっあッ」
「きつっ…凄いな、もうぐちょぐちょに濡れているじゃないか。好きだよ、エレン」
「あああぁっあっあんッあっ」

 円滑剤の香油も使われていないにも関わらず、ずちゅっずちゅっという音がエレンのなかから外へと響いていた。エルヴィンはエレンの顔や耳、首筋に、愛しげにキスをしながら、腰のほうは激しく動かし、なかをごりごりと擦ってくる。散々指で慣らされたおかげで痛みは殆どなく、強い衝撃と暴力的な程の快感がエレンの全身を支配していた。

「は、気持ち悦い? 最高にエロい声が出ているよ……エレン、お尻にハメられて感じているのか」
「ああぁ…、んっあっ、だって、あッあッあぁあッ!」

 エレンが終着点だと思っていた奥を数回ペニスの先でノックされ、突如、そこから更に奥、直腸をぐりゅ、と掻き分けてこられ、一層はしたない声が出てしまう。知らない。エレンは、こんな快感を知らない。

「っ──あ゛っうあ゛っあ゛っあ゛ぁぁ…っ!」
「悦いと言ってくれ、エレン。私のおちんちんをハメられて感じるって」

 エルヴィンはエレンに卑猥な言葉を言わせようと、挿入したまま腰を回して、乳首をまたもや舌で弾く。幼い躰が痙攣し、て、つよい絶頂感がエレンを襲う。

「や、あぁあっまたっ、いっちゃっ…ン、はぁっ…!」

 エレンの頭が真っ白になりかけたとき、突然、エルヴィンが腰の動きを止めた。

「私とのセックスでイきそうなのだね? …イかせてって言いなさい、エレン。私のおちんちんでお尻の奥を突いて欲しいと」
「あぁっ…ぁ、はぁ、はぁ…」

 寸でのところで快感を取り上げられ、エレンのアナルが物欲しげに激しく収縮している。どうしようもなく堪らない気持ちになる。エルヴィンのほうも余裕はないようで、どこかぎらぎらとした双眸でエレンを凝視している。
 ──イきたい。あれでなかを突かれて、めちゃくちゃにされたい──。

「……っ、い、かせてっ……くださ…っぃ……ッああ!」
「、どうやってイかせて欲しい?」
「ちんこ…っ、団長のちんこハメて、俺のなか、ッんん、ごりごりって…して欲…っ、しいっ……ああああ゛っ!」
「っエレン、可愛い」

 最早どちらがそうしているのか、判らない。否、両者共々か。エレンは奥まで叩きつけるような高速ピストンをされ、ながら、自分で上下に深く躰を動いて止められず、全身が快感だけに支配される。

「ひあぁっはっあんっんんっはぁあっんっあぁっ、あっああんっ!」
「エレン、悦いかい? 私におちんちんをハメられて、気持ち悦い?」
「ひあぁっい゛いっ、きもちいっ、ちんこっあぁッハメられて、…きもちいっいくっ、でちゃうッ…!」
「淫乱で可愛いよ、イきなさい、私のおちんちんでイくんだ」
「あひっあっああああー…っっ!」

 びくっびくっびくびくっと、エレンの躰が大きく痙攣し、つよ過ぎる絶頂感に、エレンは泣き叫ぶように喘いだ。達し、激しく収縮しているなかを、エルヴィンはがつがつと突きまくり、エレンの意識は飛びそうになる。

「あひっあ゛っもっやめっああッいってるっずっと出て、あぅっあ゛ッあんんはぁっはッ」
「エレン…好きだよ。好きだ…っ」

 エレンはエルヴィンの大きな躰をかき抱き、熱に浮かされたような顔でめちゃくちゃに腰を振りたくる。敏感な場所すべてが固くて巨大なカリにつよく擦られまくる。ずっと絶頂しっ放しで暴力的な快感を与えられ続け、息も絶え絶えになってしまう。

「ああ、私もイきそうだっ…中出ししてやろう」
「あっあ゛っ、い、やあぁだっ…なかは……やめっあぅんっあひっああ゛……っ!」
「好きだよ、エレン…っくっ……出るっ…」

 狭く締め付けるエレンのなかを力任せでこじ開けて、何度も、何度も、直腸までピストンし、エルヴィンは大量の精液を叩き付けた。

「あぁあうッ……なかにっ……はぁっはぁっ、あぁ…、ん…はあ……」
「すごい、最高だったよ。愛している……エレン」
「んん…、んぅ」

 挿入したままねっとりとしたキスをされ、重ねてエレンは口内を犯される。腰が甘く痺れて、挿入されたままのペニスを再度、もっと、締め付けてしまう。エルヴィンはキスをしたまま腕を伸ばし、エレンの髪を甘く撫でた。まだ死なないことを、願いに似せることはないのに。泥の地を這って、空に広がる青の名も、いつまでも知らないのに。

「んっはぁっ…はぁ…、は、ッ」

 この体勢では逃げ出すことは無理でも、エルヴィンを突き飛ばすくらいのことは出来た筈だった。だがエルヴィンがエレン耳を噛みながら、未だエレンのなかに在るペニスを動かしたりするから。だからエレンはごく自然に、エルヴィンの躰に縋り付いて、腰を小さく揺すってしまった。

「はぁ……あぁ、うんん、」
「っ、エレン、愛しているよ」

 エルヴィンのまだ萎えぬペニスがびくりと震えて、硬さを完全に取り戻した。エレンの細腰を左手で掴み、性急に律動を始める。

「あっやっあんっ…んうっうんッもっお」
「……たくさんハメてあげよう。きみの躰に私が住み着いて出て行かない程に」

 激しい行為はエレンが気を失うまで続いた。そのあとのことは何も、エレンには解らない。そして。

 ──ああ、腕が2本揃っていれば、抱き締めたまま出来るのに。矢張り少し不便だな──。

 エルヴィンはままならぬ腕の欠損を内心で嘆いた。だがきっと、この右腕の欠損がなければ、エレンの罪悪感や優しさや素直さに、付け込むことは出来なかったろう。もしも何の欠損もなければ──エレンに手をだすことも出来ず、何よりこんなことをリヴァイは赦さなかっただろう。己の名前を刻むようにエレンを傷つける、それはそれで間違いではなかったのだ。でもほんとうはきっともっとはやく気付くものだったのだ。何が足りなかったのか、何が飽和していて、何が欠けていたのか、どうすれば良かったのか。気付かないままなら楽だったかも知れない、まさか。けれどもこの状況はどうにもならない、し、今更怖いとさえ思う。エルヴィンは。エルヴィン・スミスと謂う男は、助けの求め方をずっと知らないのだ。この手を離す、と、いうこと。エレンがエルヴィンから逃げ切る為には。大切なものを大切にし過ぎて、壊してしまうなんて、おかしいことだ。解っていたのに壊したのだ。これはもう、壊れてしまったあとの今だ。時間は止まらなかった。世界は疎か、エルヴィンがひとりの時間でさえも、絶望的に、そんな力はなかった。だから真っ直ぐに伸びた影のような、子供の純真さを利用した。しわくちゃになった白いシーツに刻む、答え合わせばかり。エルヴィンは苦しくない。エレンでないから苦しくない。明日エレンはどうやって目を覚ますのか。景色は少しは変わっているだろうか。同じ時代に生まれたのだ。世代は違っても。前世も来世も何にも知らない。同じ次元に在ることの純粋が、まるで日常になると謂う奇跡が──罰として現実となっただけだ。エルヴィンは、近いうちに自分が死ぬことを確信している。夢はおそらく、果たされぬまま、死ぬだろう。残ったこの手を離したら、嘘が鮮やかになってしまう。だからこそ、今ここで、離さねばならなかった。
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