※酷い下ネタがありますので、苦手な方は注意してください。
ある晴れた日の昼下がり。そこにはいつもの仲間たちの顔ぶれ。その中にはもちろんナマエも居る訳で、この日は任務が渡されることなく楽しそうに笑い合う仲間たちの声が辺りに響く。平和ってステキな響きだネ。 なんて思いながら目の前にあるイチャパラに目を通す。だが、イチャパラに集中したいのに目の端にチラチラと写り込むのは、アスマと話しながら楽しそうに笑うナマエの姿。ナマエが楽しそうに笑っているのは何よりだ。彼女の明るい笑顔は見ているだけで、幸せな気分になれるから。 そんな思いとは裏腹にパラパラと本をめくる手は適当で、すごく楽しみにしていた新刊なのに内容が頭に入ってこない。目にチラチラと写り込むナマエの姿は本当に楽しそうで可愛くて、それを見ていると自然に顔の筋肉が緩んで綻ぶ。それなのに俺の中では何かが沸々と沸き上がる。
むかむか、ムラムラ…
あ、ムラムラはイチャパラに集中出来てないせいかな。
「ねえアスマ、」 「なんだよ」 「キミに究極の二択を与えようと思うのだが聞いてくれるか」 「究極の二択?っていうかお前誰だよ!それ何キャラだよ!」 「カレー味のう」 「それ以上は言うな!お前の言いたいことは解ったからそれ以上は言わないでくれ!」
あーあ。二人の会話の内容は置いといてナマエが可愛いのは何よりだけど、アスマは鼻の下伸ばしたような顔(俺にはそう見える)しちゃって。紅が見たら般若になっちゃうかもしれないネ。ああ恐ろしいガクブルだネ。 そんな談笑をしている二人を見ていると何故だかイライラが募る。口元はナマエの笑顔を見て緩んでいても、眉間にしっかりと刻まれたシワに俺自身は気付かない。
「カーカシせんせー!」 「ん?ああ。どうしたのよナルト?」 「それはこっちの台詞だってばよ!」 「なにが?」 「そのイチャパラ、面白い?」 「イチャパラの面白さは子供には解らないってことだネ」 「……それ逆さまだってばよ」 「…あれま、」
ナルトに言われて気付いた逆さまのイチャパラ。そりゃどれだけ楽しみにしてたって逆さまなんだから面白い訳がないじゃない。なんで逆さまなのよ。 ナルトに指摘されたそれを元の向きに戻しイチャパラに集中しようとすると、今度はサクラに眉間に寄ったシワを指摘された。どうやら俺は、何かに動揺しているのかそれを隠しきれていないようだ。 カカシ先生、ナマエさんに構ってもらえないから寂しいんじゃないの?とニヤニヤと口元を歪ませるサクラの言葉に、ふと思う。 子供ってホントに敏感だよネー。俺自身もアスマと談笑をしているナマエも気付いてないってのに。 いや俺はこの沸々と沸き上がるそれが何なのか気付いてはいたけれど、大人なところを見せようと必死に隠してた訳で。気配を簡単に消すことは出来ても、どうやらその感情は無意識に出てしまうらしい。 はあ、嫌だネ全く。どれだけ歳を取って大人になろうとも、愛しい彼女の前ではまるで子供のようなヤキモチを妬く。情けないと思いながらもこれも男の性ってヤツだ仕方ない。と開き直る俺はホントに情けない。まあでもそろそろ俺も我慢の限界がきてるから、ナマエの名前を呼んでおこうかな。
「ナマエ、」 「あ、カカシ!ねえ聞いた!?」 「うんうん聞いてたよ。アスマは紅とスカトロプレイがしてみたいっていう話でしょ?」 「話題には微妙に掠ってるけどそんな事は一言も言ってねえよ!!」 「そんな変態の近くにナマエを置いとく訳にはいかないから、ほらナマエこっちおいで」 「だから言ってねえっつってんだろ!」
わんわん喚くアスマの声を背中越しに聞きながらナマエの手を引けば、ナマエの明るい笑顔は自然と俺に向けられる訳で。
…うん、やっぱりこうじゃないとネ。彼女の笑顔は一人占めにしたくなってしまう。俺って結構我が儘なんだネ。俺とナマエがその場を後にしてから、アスマはナルトに「スカトロプレイってなに?」と聞かれていたとか。
アスマのヤツ、あいつらに何て答えたんだろうネ。俺の愛しいナマエといやらしい話をしていた罰だよねきっと。
*
ナマエの手を引きながら宛てもなく歩いていると、ナマエが俺の手を握っている力を少しだけキュッと強くした。それが何かの合図のようでチラリと隣に肩を並べるナマエを見れば、彼女は頬を淡いピンク色に染めながらふふっとはにかんだように笑う。 何が可笑しいのか不思議に思っていると、ナマエがふふっと含み笑いをしながら嬉しそうに口を開く。
「ねえカカシ、」 「ンー?」 「嫉妬、した?」
含み笑いをして見上げながら俺の顔を覗き込んでくるナマエは、まるで悪戯っ子のよう。…ああ、これはヤられちゃったネ。 アスマとナマエは最初っからグルで、俺が嫉妬をするように仕向けたんだろうきっと。参っちゃったよネー。
「ナマエ、あのね」 「うん?」 「俺は大人だよ?大人が嫉妬なんてすると思う?」 「…じゃあしなかった?」
期待が外れたかのように眉を少し下げてしゅんっとなり、ふて腐れたような表情を見せるナマエ。可愛いじゃないのよ、全く。
「…でも大人の前に、俺はひとりの男だからネ」 「………」 「参ったよネ、見事にナマエの策にはまっちゃうなんて」 「…ってことは…つまり、」 「したよ、嫉妬。ちょっとだけどネ」
「ちょっと」と付け加える辺り、自分自身はあまり認めたくないらしい。 だってアスマとナマエの会話って完全なる下ネタだったでしょ?あんな会話に嫉妬したとかなんだか虚しくなってくるよネ。まあ実際しちゃったんだけどねこれが。 頭を掻きながら嫉妬したことを伝えれば、見る見る内に表情が明るくなり「やったね!大成功!」と喜ぶナマエ。 なんでナマエは俺に嫉妬させたかったんだろう。聞けば、「だってカカシっていつも余裕な感じするから、たまには焦らせてやりたくて」とはにかんだように笑う。
…それはねナマエ、自分の格好悪いところなんて愛しい人に見られたくないでしょーよ。だから余裕ぶってるだけなんだけどネ。 愛しい人の前じゃあ上忍なんて立派なものではなく、ただのひとりの男になってしまうんだよ。それはもう情けない男にネ。俺がどれだけ君を想っているのか、ナマエはまだまだ解っちゃいない。
…これは、ちゃんとナマエに解らせてあげなくちゃ、ネ。
「…カカシ大好き」 「うん、知ってるヨ?」 「…じゃあ、カカシは?」 「………俺はね、」
繋いでいたナマエの手をぐいっと自分の方へと引き寄せれば、ナマエの小さい悲鳴が聞こえたけど構わずぎゅっと抱きしめる。
俺の腕の中でジタバタと暴れるナマエの耳元でその言葉を囁いてやれば、顔を真っ赤にさせたナマエは俯いて大人しくなった。
………俺はね、
「愛してる。」 (最上級の愛を、キミに。)
「なあなあ、スカトロプレイってなんだってばよ?」 「えっ!?いや、その、」 「ち、ちょっとナルト!なんてこと先生に聞くのよ!」 「サクラちゃん知ってるの?」 「わ、私に聞かないでよ!ナルトって本当に馬鹿!変態!!」 「あっ、サクラちゃん!…俺なんか変なこと言った?」 「ま、まあ大人になれば解るぜ…」 「何なんだってばよー!!」
←|top|→
|