私は今日も元気に風影室に向かいます。テマちゃんには毎日のように「我愛羅の仕事の邪魔すんな!」って怒鳴られるけど、我愛羅本人には怒られた事がないからそれでも私は風影室に向かいます。
大体テマちゃんは邪魔すんなとか人聞きの悪い事をいつも言うけれど、私は我愛羅の仕事の邪魔をしているつもりなんて全くない。
だっていつも我愛羅が仕事をしてる様子を見てるだけだし。むやみに話し掛けたりなんかしてないし、たまーに破棄する報告書の裏に落書きしたりとかしかしてない。それのどこが邪魔だっていうの。
そんな訳で私は今日も風影室の隅で仕事に真剣な我愛羅の姿を見つめています。報告書をまとめたりペンを走らせる我愛羅の横顔を見ているだけで、不思議と幸せな気分になります。ああ、もう好きだなあホントに。報告書に向けている真剣な顔をちょっとだけこっちに向けてくれないかな。口に出したらテマちゃんに怒鳴られるから念を送る。こっち向け、我愛羅こっち向け。不意にふっ、と短い溜め息を漏らした我愛羅と視線がぱちっとぶつかった。

「…××、」

わ、我愛羅こっち向いた!私の念が届いたのかな。

「なに、我愛羅!」
「この部屋から出て行け」
「………、」

風影室から追い出された。仕事の邪魔はなに一つしてないのにどうしてだろう。

「…我愛羅、やっぱり××が邪魔だったのか?」
「いや、××が傍に居るとついかまってやりたくなるから仕事に集中出来ない」
「居ないと居ないで集中出来ないんじゃないか?」
「………言うな」
「バカップルだなお前ら」

なんだかんだで数時間後にまた風影室に呼び戻された。

(居ても居なくても落ち着かない。なんて厄介な存在なんだ)




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