きっかけの続き




「ねえ我愛羅くん、消しゴム貸してくれる?」

その一言が俺と××の一日の会話の始まり。それから授業中なのにも関わらず他愛のない話をしたり、あー眠たいとぼやく××にカカシ先生のチョーク手裏剣が当たらないように必死で話し掛けて起こしたり。カカシ先生のチョーク手裏剣が直撃したら誰でも泣くだろう。
相当痛いのかナルトでさえ半泣き状態だったから。
消しゴムを××に渡せば「ありがとう」と笑顔で受け取ってくれる。この時、××の隣の席になった時に××の消しゴムを蹴っておいて良かったと思う。あれから少しずつ××との会話が多くなって、少しずつ××との距離が縮まっているのを実感する。あの時は衝動的に××の消しゴムを蹴ってしまったけど、その後××の消しゴムは行方不明になって申し訳なく思ったが××は新しい消しゴムを持ってこない。
俺から消しゴムを借りる為に新しい消しゴムを持ってこないのかとほんの少し期待している自分がいる。

「ねえねえ、我愛羅くん知ってる?」
「なにを?」
「消しゴムにさ、」
「ああ、」
「自分の名前と好きな人の名前を書いて使い切ったら両思いになれるんだって!」
「…そうなのか、」

それは初めて知った。チャレンジしてやろうかと思ったが俺の消しゴムは××も使っている。俺の名前と××の名前を消しゴムに書いてバレたりしたら大変だ。××、早く新しい消しゴムを持ってこい。いやでも、そうなったらもう××から話し掛けられる事が無くなってしまうかもしれない。それは困る。

どうする、俺。

「…だからさあ、」
「、?」
「私と我愛羅くんの名前書いて二人で使い切ろうよ!」
「えっ」
「ねっ!」

あの時××の消しゴムを蹴った自分を褒めちぎってやりたい。

(使い切る前に結果は見えてる)




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