※小長(先天性にょた)
※成長
※長次が妊婦さんです



ここ最近、大きくなるお腹と比例して長次の顔色は悪くなっていた。
顔色だけじゃない。女性ながらに私と対等に取っ組み合っていた腕はすっかり細くなり、目の下には、文次郎とまではいかなくともかなり濃いクマができてしまっていた。
そりゃそうだ。だって、しょっちゅう夜中に起きだしては先刻に食べたものを吐き出してしまうのだから。
それでも、長次がぎこちなく、しかし幸せそうに微笑むのには訳がある。
まさに、長次から逞しさを奪うお腹の中身が原因だ。

「もうちょっと大人しかったら良かったのになぁ」

こいつがよく内側からお腹を蹴るんだ。と呟いた長次にそう返すと、それは無理だと笑われた。

「小平太の子供が大人しい訳がない」
「あはは! そうだね」

でも長次の子供でもあるんだから、と続けようとしてやめた。だって長次は女性ながらに私と取っ組み合えるほどの体力の持ち主なのだ。
子供ができたと知らせを聞いて飛んできた旧友たちが、皆一様にこのあばら屋じゃ三日ももたないだろうなあと笑ったのを思い出した。失礼な話だ。
もうすぐ生まれてくるのであろう命を脳裏に浮かべて、長次がふふと笑う。
かわいい。
お母さんになる。その事実が作用しているのか、学生時代にはいっそ男らしいくらいにしっかりしていた長次は、今ではだいぶ女性らしい丸みのある笑い方や話し方をするようになった。私の記憶の彼女と比べてだから、近所のおばちゃんやお嬢さんたちと比べるとまだ大分かっこいいみたいだけども。

「ねえ、長次」
「…?」
「前にさ、私、たとえ長次が男でも愛してるって言ったけどさ。やっぱり長次が女の人で良かった」

そりゃ、長次が男性だったとしても愛しいのは間違いないけれども。
それでも、もし彼女が「彼」だったら、今、長次のお腹の中にもう一つの命は無かったのだ。ただそこに在るだけで、こんなにも自分たちを幸せな気持ちにしてくれる存在。それが無かったら、なんて考えたくもない。
これから生まれてくるまだ見ぬ命を、掌にありったけの愛情をこめて撫でる。
お腹の子の鼓動が肌を通して聞こえてきやしないかと思ったが、感じたのはくすぐったさに身じろぎする長次の振動だけだった。
それでも確かにそこにある命。

「なんて名前にしようか」
「…金楽寺の和尚さんに」
「縁起の良い名前、お願いする?」
「幸せになってもらいたいから」
「そうだね」

私たちがもらっている、いやそれ以上に沢山の幸せをあげられるように。
開け放した戸口から未だわずかに冷たい春風が吹き込む。
あったかい名前が良いなぁ。
少し小さくなった指先を握れば握り返される、そんなことが当たり前になっている現実が幸せすぎて、ちょっと怖くて、嬉しくて。
どうか、永遠に仕事が来なければ良い、なんて駆け出しのフリー忍者にあるまじきことを考えてしまったのは、奥さんと子供には内緒だ。


喜びの

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98000打キリリク「小長♀で妊娠」でした。
要様リクエストありがとうございました!

テイルズの方で既にやらかしてますが、私も妊娠して幸せいっぱいな感じがすごく好きなので、リクエストが来たときすごく嬉しかったです!
大きくなってきたお腹を撫でながら名前の話するとか良いですよねー(*´艸`)
返品・苦情はいつでも受け付けておりますので…!
煮るなり焼くなりお好きなようにしてやってください。

では改めまして、98000打ゲットおめでとうございました^^*

※要様ご本人のみお持ち帰り可です


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