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「さっきのって、本当…?」
静かな校舎裏で落ち着いたところで、気になっていたことを知念くんに尋ねた。
「さっきの?」 「あの……知念くんが一目惚れしたって話…」
すると、知念くんは顔を赤くしながら、「本当さぁ」と呟いた。
「えっと……それって…」 「…ミョウジさんが、転入初日に教室に入ってきた時から」 「そうだったんだ………ごめんね…」 「…ちゃーさびたがや?」
急に謝った私を、知念くんが不思議そうに見下ろしてくる。
「ごめん、あたし…正直最初は、知念くんのこと怖かったんだ…」
私が見た目だけで知念くんを怖がっていた時から、 知念くんは私のことを好きでいてくれたなんて……あの頃の自分を叱ってやりたい。
「…やっぱそうだったかやぁ」 「も、もしかして気づいてた…?」 「わん、こんな見た目やっし…女子は大抵わんのこと怖がるから、ミョウジさんがわんのこと怖がってるのも、分かってたさぁ」 「うっ……ごめん」 「やしが、」
隣に立っていた知念くんが、私に向き合った。
「ミョウジさんが、だんだん親しく接してくれるようになって…でーじ嬉しかったんどー」
知念くんが、優しく目を細める。 以前は“怖い”と感じた彼の大きな身体も、今では寧ろ、私に安心感を与えてくれる。
「それに今まで、片親おらんって言うと大抵気を使われたり同情されたりしたんやしが………“お揃い”なんて言われると思わなかったさぁ」
知念くんが小さく吹き出しながら言うのを見て、自分の顔が赤くなっていくのを感じる。
「あれは!なんか、思わず言っちゃって…!」 「ははっ、あれも嬉しかったんどー」
「最初は一目惚れやしが、わんに普通に接してくれたミョウジさんに、もっと惹かれたんばぁよ」
そう言う知念くんの顔は、また真っ赤だった。 何だか、二度目の告白みたいだ。
「私も…初めは知念くんのこと怖かったけど、少しずつ知念くんのこと知っていって…気づいたら、毎日知念くんのことで頭がいっぱいになってた」
気づいたら、あなたはとても大きな存在になっていた。
「知念くんも私とおんなじ気持ちなんだって分かって、ほんとに、ほんとに嬉しかった…」 「…わんもさぁ」
知念くんが、私の前に手を差し出す。 その手に自分の手を重ねると、体育祭のリレーでバトンタッチしたときのことを、ちょっと思い出した。 二人で手を繋いで、歩き出す。
これからは、二人並んで ずっとずっと、笑顔でいられますように。
fin 2010/12/?? 〜 2011/4/30
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