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「で、どっちから告ったんばぁ?」 「…何でやったーに教えなきゃいけないんさぁ」
体育祭が終わってはや数日。 あの日、私と知念くんは互いが同じ気持ちであることを知り、めでたくお付き合いすることになったわけなのですが… 私たちは、なぜか今、テニス部の部室で並んで座らされています。 目の前には、リーゼントの人もとい木手くん、“裕次郎”くんもとい甲斐くん、“凛”くんもとい平古場くん、 そしてさっきからずっと何か頬張っている田仁志くんという人が、机を挟んで座っている。 昼休みになって、知念くんとお昼ご飯を食べようと教室を出たところで、甲斐くんと平古場くんに捕まりここへ連れてこられた。 どうやら、リレーの後に何があったか聞きたいらしい(田仁志くんはどうでもよさ気だけど…)。
「やしがミョウジさん、知ってるかやぁ?知念のヤツ、一目惚れなんどー」 「えっ?!そうなの?」 「凛っ!!!!」
知念くんが慌てて立ち上がり、平古場くんを睨む。
「まったく、程々にしときなさいよ平古場くん。知念くんは気が短いんですから…」 「わーったわーった!ちょっとからかっただけさぁ」 「にしても知念がついに彼女持ちかぁ。あーあ、わんも彼女欲しー!」 「独り身は寂しいさぁー。なぁ慧くん?」
甲斐くんと平古場くんがそう言って、田仁志くんに振り返る。 その途端、田仁志くんは食べる手を止め、少し顔を赤くしてボソッと呟いた。
「わん、彼女いるんやしが」
「「…………はぁ?!!!」」 「ぬ、ぬーやがそれ?!そんな話知らないやっさー!!」 「私も初耳ですね…詳しく教えて貰いましょうか」 「…慧くんに先越された……慧くんに先越された……」
予期せぬ田仁志くんの暴露に、平古場くんと木手くんが勢いよく食いついた。 甲斐くんに至っては、衝撃のあまりか放心状態になっている。 その様子を呆然と見ていると、横からくんっ、と腕を引かれた。 知念くんがドアの方を指差して、口パクで「出よう」と言っている。
私たちは揉めている木手くんたちを置いて、部室を出た。
***
「抜け駆けは許さんどー慧くん!」 「…慧くんに先越された……」 「…どうでもいいですけど、知念くんたち行ってしまいましたよ?」 「「何っ?!!」」
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