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「あー…そっか引退したんだったな」

『ま、ね』


今まで私だって3年生を送り出してきた

部長という襷まで預かった


私は皆のために何かできただろうか
心に残る何か、を


「…寂しいか?」

『え?』

「忽然と今までの毎日が変わるんだもんなー寂しくないわけないか」


寂しくないって言ったら嘘になるけど




でも、そんな感情だけじゃない


『…寂しいだけじゃない』

「ん?」

『怖いの。今まで積み重ねてきたものが無くなるのが』


こんな事思うのは私だけかな

だとしたら笑える
独りよがりかもしれないけどさ



『たくさんの人達に出会えてたくさん学んで少なくとも私は幸せだった』


私の話しを黙って前を見て聞く山本


『私はその人達の心に少しでも何かを与えることができたかな』


何かにあまり執着心がない私にとって部活は高校生活を送る道標になり、壁になり、一緒に乗り越えていくものだった


その道標を一緒に歩んできた仲間達








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