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神様は残酷だ、って言葉を

こんなに実感したのは初めてだった












俺の知らない男の隣を歩く君

お似合いなんてことより
君が、見たことないような笑顔してるから

それが悔しくて情けなくて
動けなくなった





















『ごめんね、つらいの』

「なんで、」




別れて下さいと言った名前の言葉を遮って名前の顔を見たら次の言葉は出てこなかった

本当に、辛そうな顔をしてるから。






「分かった。ごめんな。」









彼女は何も答えなかった

泣くわけでもなかった

ただ、辛そうな顔をした






なんでなんてもう聞けなかった

俺達は別れて、学校も卒業したし、それから会うことはなかった



















あれからどれくらい経ったのだろう
街で見かけてしまった。

名前は気付いてないみたいだった
寂しいとは思わなかった
むしろ気付かない方が好都合だったと思う











何でだったんだろう

俺がその笑顔をさせられなかったのはどうしてだったんだろう

なんで俺じゃ駄目だったんだろう










なんで俺は、お前じゃなきゃ

駄目なんだろう













君の幸せは僕の幸せ

なんて綺麗な事は言えない





けど



君が幸せで

笑顔でいれてるなら

俺は幸せなんかじゃなくていい



、かな





僕の知らないカオ








恋/奥華子



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