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『たけしーっ!』
――ガチャ
部屋の扉が勢いよく開いた
いつも通りに声の主が入ってくるだろうという俺の予想は半分だけ当たった
『じゃじゃーん!』
入ってきた1つ上の彼女兼ご近所さんである名前の様子はいつもとは違い、ピシッとしたスーツに身を包んでいたのだ
「おー、スーツ買ったのな」
『そう!』
嬉しそうだった名前の顔が曇る
「どうした?」
『いや、うん、あの……変?』
……?
突然の発言に疑問しか浮かばない俺
『いや、だって……なんか、武、テンション低いっていうか、なんというか…』
「……」
無意識に、だった。
ただ、なんとなく
スーツを着てスッと背筋を伸ばす名前はいつもより大人びていて
1つ違う歳の差が絶対追いつけない高い壁みたいに感じて
自分がガキだって思い知って
名前には釣り合わないなんてとこまで考えが至って
……ってゆーのが顔にでていたかと思うと
やっぱり俺はまだまだガキだ、という自己嫌悪の無限ループ
「いや、あのさ、すげー…似合ってると思うぜ」
『ほんと?』
「…うん、すげー大人っぽいしさ、だから、俺、全然追いつけねーし釣り合わねーな、と思ってさ」
『!』
「ははっ、ダセーよな、こんなこと考えちまってさ、、」
『…ばーか。』
きっと呆れられてしまう、と肩を落とす俺の予想とは反して名前は柔らかいトーンで告げたと思うと急に元気になってこう言った
『そんなに似合わないのかと思った!落ち込んで損した!』
「…悪い、」
『ちょっとくらい不安になれ!私なんていつも武に釣り合ってないんじゃないかなーって不安なんだから!』
「!?、そんなことねーよ!」
『…ふふっ有り難う、そのままそっくり返します』
「!…そっか、なんか、サンキュ」
『うん』
そういって澪生は微笑んだ
歳の差なんて!
「早く俺も卒業してーな」
『うん、頑張って!』
「おう!」
『ちゃんと勉強してね?』
「…はーい」
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