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今日は4月1日

そう、エイプリルフール



去年はというと友達に騙され、家族に騙され、さんざんな1日を過ごした…!







だから今年こそは…


私がたくさん騙してやる!!
















『ツナー、ちょっと来てー』

「何?」




昼休み、ツナを呼んだ







理由は簡単

今日のその多少無理やりな決意に巻き込むこと






標的は



山本 武







そして内容は


一応彼女である私が倒れて、今保健室にいるというもの







嘘つかれて怒るかっていう興味もあるし
その嘘にたいしてどんな反応するのかもあんまり想像つかない






とにかく私は作戦を決行するべく
ツナに説明を続けた






「え、山本に嘘?」


『うん!』


「へ、へぇ…」


『でね、』




作戦を一通り説明をし、




山本が部活終わるころの時間に
ツナから伝えてもらうことにした。
























放課後

シャマル先生に言って許可をなんとかもらい
私は保健室で待機。



先ほどツナが山本のところに向かった





もうすぐ来るかな、なんて思いながら
どんな顔して入ってくるかを考えてみる



心配くらいは、してくれると思うけど……

















―――ガラッ!

そのとき勢いよく保健室の扉が開いた




「名前!!」





入ってきた山本の表情は今までみたこともないほどの真剣な表情で、


すぐに種明かししようと思ってたのに
考えとは裏腹に私の体は動かなくなる



そんな私のもとに急いで駆け寄る山本




「もう大丈夫なのか?今日1日具合悪かった?なんで言わねーんだ?」




種明かしはおろか、大丈夫とすら言えていない私


山本は心配そうな顔で私を見ている






『あの…ね山本、今日4月1日でしょ?』

「?」

『エイプリルフール』


「!」

『だから、その……嘘』


「…じゃあ、名前は倒れてねーってことか?」

『うん…ごめんね』



そう言って顔を上げると
山本は安心したように笑っていた






「良かった…」

『え?』

「俺、名前が倒れたって聞いたときかなり焦った」

『……』

「無理してたのかなとか、いろいろ考えてさ」



そんなに考えてくれるなんて思ってなかったから、
申し訳なさでいっぱいになる




『ごめんね、』

「でも、なんでもねーって聞いて安心したぜ」











「ははっ、エイプリルフールか…すっかり騙されちまったな!」

『一応…作戦成功!ってとこかな』

「でもさ、ここまでの嘘はやめてくんね?心臓に悪いぜ」

『うん、ごめん』












嘘吐きは泥棒の始まり

エイプリルフールに感じた、

少しの

罪悪感と幸福感










(次ページ→あとがき)


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