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ぼーっといろいろ考えていたら
いつの間にか放課後

山本に渡そうと思って持ってきたチョコは未だにかばんに入っていて


まだ希望を捨てきれなかった私は渡さない決断も出来ず、かと言って渡す勇気もなく

なにをやってるんだと自分にあきれる


教室にはもう誰もいない



そう、山本だっていないのだ










やっぱ、渡せば良かったかな

なんて思った時、後ろのドアが開いた






「…!!あれ、名前!?」


『や、山本!!』


そこに立っていたのは山本で


『なんで?、』

「あ、えっと…弁当、教室に忘れてっちまってさ!」

『そ、そーなんだ!』


いつもなら普通に出来たはずの会話、今日に限って続いてくれない


「あのさ!」

『え!なに!?』


沈黙を破ったその言葉に
明らかにおかしい自分の反応
あー…馬鹿だ私…!!

山本はというと
困ったような笑ったようなよくわからない表情で頭をかいていて


「…あー、なんでもねぇや!」

『?』



「まだ帰んねーの?」

『あ、えっと…うん』

「そっか……んじゃあ…また、な!」



そう言って背を向けた山本


このままでいいのか

そう自分に問いかける









自分の中で、答えはすでに決まっていた


決まっていたんだけれど


試す勇気がなかったんだ






渡そう、渡したい



断られたら、笑って謝って

また明日からいつも通りにしよう

そんな自信はないのは正直なところだけど


今を逃せば後悔する、そんな気がした


『山本!』

「!!、ん?」

『あの、ね』


自分から呼び止めておいてその先が言えない


沈黙が流れる


頑張れ、私!



『あの、…これ、バレンタインの…チョコなんだけど…』

「!!」


やっと言えたは良いが
ひどく驚いた顔をしている山本



「…それ、俺に?」


『うん…』



断るなら早く断って欲しい

このちょっとの沈黙が私には永遠みたいに感じる




「貰って良いのか…?」


『えっ!!』




今、なんて言った…?



『貰って、くれるの?』


「え!だって、俺にくれんだろ?」


『いや、今年はみんなの断ってるって聞いたから…』


「!…それは、俺…今年は好きな奴がいたから…」


『!!』




やっぱり、

少しでも期待してしまった私が馬鹿みたいだ







「俺、名前のこと、好きなんだ」










思考停止









『え、なんて…?』


「ん?だから俺、好きなのな。名前が」


いつもの笑顔とは違う少し照れているような顔でそう言う








『……好き』


「え?」


『私も、好き。山本のこと、』



夢みたいなことがホントにおこってる




「…よっしゃ!!」



『ちょっと山本!』



いきなり抱きついてこられて、かなり焦る私



「ずっと、こうしたかったからさ…すげー嬉しいぜ」


『っ!!』




恥ずかしい…かなり恥ずかしいんだけど…


それ以上に嬉しいのが勝って

馬鹿だな、なんて思いながらも





赤くなってる顔を隠すように



山本の背中にゆっくり腕をまわし





『私も』







そう呟いた












Happy Valentine!

バレンタインに甘い一時を







(次ページ→あとがき)




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