2/3



関係ない

その一言が頭から離れなくて

それからはもちろん自分から
獄寺くんに話すなんてほとんど出来なかった









そんな日々が続いていたある日のこと

授業中獄寺くんの姿が目に入った



獄寺くんの席は私の席の斜め前の前で


授業中でも見える!!
だなんて浮かれてた自分が今は懐かしくすらあった










今はこの距離が
















酷くつらい











もう目を離してしまいたいのに


こんな気持ち忘れてしまいたいのに



離れない想いが

頭にしがみつく









やばい、泣きそう、、




「苗字。…おい、苗字名前!」




そんなことを考えていると先生にかけられていた


私は慌てて返事をする




『…は、はい』

「大丈夫か?顔色悪いぞ。具合悪いなら保健室行ってこい」

『……すいません、』



それだけ言って私は席を立ち教室を離れた



向かった先は保健室ではなくある場所











非常階段






ここは死角になるからサボるにはもってこいの場所で


1度だけ獄寺くんと二人でサボったことがあった場所でもあった



でも泣き出しそうな私が今思い付く隠れられる所なんてここしかなくて


私の足は非常階段へと向かった
















階段に座った瞬間
それまで抑えていた涙が溢れ出した


こうして見えないところに来たって
やっぱり頭に浮かぶのは楽しかった時のことばかりで

誰もこないことを良いことに私は思いっきり泣いた





そのときだった





「…名前!!」

『!』









誰もいないはずの非常階段にいきなりの声

とても聞き慣れた、大好きな声





それは、今一番会いたくて

でも一番会いたくない人のものだとすぐに分かる




その声の主は俯く私の前に立つ

涙は止まらないまま私は顔を上げると





その人はやっぱり

獄寺くんで




耐えきれなくなった私は立ち上がり
その場を去ろうとした






『…ごめん!!なんでも、ないの』




――ガシッ

「何でもなくて、そんなになるかよ」








腕をつかまれ動けないまま沈黙が流れる



黙っててももうしょーがないと思った私は話し出す









『この前――――





泣きながらだから
自分でも思うくらいにゆっくりだった


でも獄寺くんは急かすことなく聞いてくれた



説明していくと

頭から離れなかったあの言葉に差し掛かる








―――お前には…関係ない、って。』


「…あ?」



今まで口を挟まず聞いてくれていた獄寺くんがちょうどそのとき顔をしかめてそう言った






「俺が、お前には関係ないなんて言ったか?」


『だから、関係ない、って…』





「……そういうことか」






私には最初その言葉の意味は分からなかった







「…ばーか」


『!?なによ、どうせあたしはっ』

「お前には関係ないなんて言うわけねーだろ」







『!』








「お前が、周りの女たちがどーのとか言うから……そ、その、だから、関係ねぇっつーのは!お、お前がいるんだから、別に周りのやつらなんて関係ねぇって、意味だ!!!」

『!!』









拍子抜けした


ただの…勘違いだった、なんて









「ホントお前は…馬鹿だな」





まだ泣きながらだけど反論しようと思って振り向くと

いつもある身長差は階段の段差で無くなっていて

いつもより近い獄寺くんとの距離に少し戸惑う





『馬鹿って言っ



それでも言い返そうとした私の口を塞いだのは

柔らかい感触



『!!!』


「…ったく、心配させやがって」











言葉の意味

それはただの勘違いで







(次ページ→あとがき)




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -