運命の人 | ナノ


臆病な私



モノレール内で私は蘭の隣に座る。
さっきは仁科さんと楽しそうに話していた蘭だけど、今は何か思い詰めた表情で毛利さんを見つめていた。


「…蘭、何かあった?私で良かったら相談にのるよ」

「…………」


私の言葉にハッとした蘭は少しの逡巡の後、重たそうに口を開いた。
蘭が小さい頃、毛利さんが妃さんを撃ったことを聞いて……そして、工藤君に言われた言葉を聞いて、胸が締め付けられる気がして無意識に手を強く握る。
…ははっ、何でこんなことで嫉妬してるんだろう。

“おじさんがおばさんを撃ったのが事実でも、それがイコール真実とは限らないんじゃねーか?”



「時々格好良いよねーアイツ」

「……うん、そだね」

「名前に聞いてもらえて良かった!」

「蘭が元気でいてくれた方が私も嬉しいから」


…そう言葉で言って、心の中で考えているのはドロドロした感情。

ね、蘭って、工藤君のことやっぱり好きなの?
怖くて聞けない、聞いて…好きだよ、って言われたらどうしたら良いんだろう。
それは私が知ってる物語の中では当たり前の感情で、だからこそ怖い。
少し前、蘭は工藤君のことを異性として見てないと言った。
思い出して安堵したのは私が工藤君のことを好きだから。

怖い…怖くて堪らない。
嫌いだ、こんな私。
…………こんな、女々しくて臆病な私は。






気持ちを切り替えて、モノレールから下りて歩いてきたアクアクリスタル内のレストランを見回る。
その豪華なレストランは中にフェラーリを持ち込んでいたり、水族館みたいなガラス張りの壁からは魚が泳いでるのが見えた。
うわぁー!!本当に凄いっ!!
海中レストランか…いつか食べに来たいな。


「旭さんが見当たらない様ですが…?」


沢木さんの言葉に周りをキョロキョロと見渡せばいないことに気が付いた。
呼び出した張本人がいない…まさか、そんなことはないよね。
同じ懸念に辿り着いた目暮警部が事情を知らない奈々さん達に説明するらしい。

白鳥警部と毛利さんはこの中を調べてくるみたいだ。


「私も手伝います」

「な!?いや、名前君にそんなことはさせられない。一般人であるし…何よりも君は女の子じゃないか」

「それなら大丈夫です!コナン君がいるんでっ!!」

「うわっ!?」


目暮警部の心配に答える為にコナン君を抱きかかえてみせる。
子供と子供なら同じじゃないのかね、っていうのは聞かなかった方向でいきます!
少しでも、犠牲を減らしたいから。
静止の言葉も聞かずに私はコナン君を抱えたまま走り出す。


「毛利さんと白鳥警部は非常口の方をお願いしますねー!」


そんな余裕な言葉をおいて。





コナン君と歩きながら施錠の状況を調べて行く。
見つけた部屋の鍵は必ず調べたから私達の来た方は此処で最後。

ドアノブを回そうとするけどガチャガチャと音を立ててそれは出来なかった。
此処…ワインセラー?
何でここだけ…疑問に思いながら私とコナン君はさっきのホールへ戻った。

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