運命の人 | ナノ


集結してしまった数字



アクアクリスタルが見える所に着いた私をコナン君達が出迎えてくれる。
コナン君、蘭、毛利さん、目暮警部、白鳥警部がいる所まで走って近付く私に蘭が驚いているのが分かった。
そしてもう一人、私の知らない人。



「えっと…?」

「私は沢木公平と言います。よろしくね」


差し出された手を握り返して私も宜しくと言う。
だけど…小さな違和感。
それは本当に小さな小さな違和感だったけど、疑うには十分だった。

………きっとこの人が、この一連の事件の犯人。

これまでも事件が解けなくても犯人はきっとこの人だろうと思ったら合っていたことが多々あった。
…私の微かな勘が小さくだけど役に立ってる瞬間です。
思い出すことは出来ないのに何で分かるんだろう。



皆で遠くから見つめるアクアクリスタルは圧巻で口が開く。
ヘリポートもあるんだよね確か?
ふわー…本当に凄いな。

感心していると遠くからエンジン音が聞こえて来た。
そのけたたましい音とタイヤと地面の摩擦音が近付いたと分かり、後ろを振り向くと赤いスポーツカーが荒い運転でこっちに向かって来ている。
……んん?スピードが緩まない。
え、えっ…え、え!?ちょちょちょっ!

慌てて逃げると何処のカースタントだろうかと思うくらいのハンドル捌きで、見事に駐車スペースに入ったスポーツカーから出て来たのはスタイルの良い女の人。


「ちょっと、ズレたか。でも、まあまあだね」


そう言ってサングラスを取った女性の顔には見覚えがある様なない様な…んー、多分芸能関係の人だと思うけど確信は無い。
寂しさを紛らわす為にテレビを点けることはあっても結局、電気代がかかっちゃうと消しちゃうことが常だからそういう話題に疎くなってしまった。
でも蘭が結構ミーハーだから芸能人の話をしてることは多い、割には私はいつまで経っても名前と顔が一致しないことが多いけど。

そんなことを考えていると女の人に続く様に3台の車が駐車場に入ってきた。
女の人みたいに荒々しい運転じゃないけれど、私達の目の前で止まった車から男の人が出て来て歩いて来る。



「よぉ、奈々ちゃん!君もか?」

「あら、宍戸先生も旭さんに呼ばれたの?」

「失礼ですがお嬢さん、あなた方は?」


女の人はサングラスをかけている渋いおじ様に親しそうに話しかけている様子を見て、目暮警部が誰かと尋ねる。
白鳥警部が女性をモデルの小山内奈々、サングラスをかけているおじ様がカメラマンの宍戸永明、外国人の人がニュースキャスターのピーター・フォード。
ただ一人分かったのは仁科さん…だったかしら?
この間、蘭が園子とこの人のサイン会に言ったって話を聞いた。
ワインのエッセイを書いている人だとか何とか。

……ん?あれ?この人達って…、
皆が話をしている間に隙を見付けてコソコソとコナン君と言葉を交わす。



「…ねぇ、コナン君。今、来た人達って……名前に数字があるよ」

「あぁ、オレも気付いた。奈々さんが7、宍戸さんが6、ピーターさんが4、仁科さんは2。…ってことは」


…集まってしまった、このアクアクリスタルに数字を持つ人が。



「あのね」

「ん?」

「1は、君のことだと思うんだ」

「……やっぱり、そうだよな」


コナン君も同じことを考えていたらしく納得した様に、目暮警部達と話している毛利さん達を見つめる。
じゃあ、あとこの場所に居ないのは…3だけ。
んん?でもこの話ではもうすでに全ての数字の人が集まっていた気がする。
…でも良いか、少しでも危険に巻き込まれる人が少なくなればそれで良い。



「とりあえずレストランへ行きましょう」


3時に近いことに気付き、目暮警部が腕時計を見て言う。
アクアクリスタルへ行くにはこのモノレールに乗って行くしかない。
それを悟った毛利さんが顔を青くしたのを見てしまって私は苦笑した。
……あー、毛利さんって高所恐怖症だったね。

皆に続いて私とコナン君もモノレールに乗り込んだ。

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