認識するライバル
漆黒の星も無事に鈴木会長の元へ戻り、事件は無事に収束を迎えた。
充実し過ぎた今回の事件は私の心に大きく残る物となる。
頭の中で今の関係を整理する。
私は工藤君が好き。
工藤君は蘭が好き。
蘭は工藤君が好き。
…快斗は私が好き。
……あー…溜め息しか出て来ないや。
工藤君も蘭も好きじゃないって否定してるけど、絶対好きになってる。
結局、2人は物語通りにくっ付く運命だ。
私の入る隙なんてない。
快斗も告白してきてから以前にも増して猛アタックしてきている。
嫌じゃないんだけど色々と複雑で。
…だって調子は違うけど工藤君と同じ声で好き好き言われるのは、私の心臓がもたないっていうか、うん、本当に恥ずかしい。
それと……快斗にコナン君=工藤君だってバレました。
「あの探偵ボウズ…あの高校生探偵の工藤新一だろ?名前と一緒に住んでたっていう家主の」
『違うよ?』
「……正直に言わねーと、工藤の声で言葉攻めするぞ」
『ハイ、ソウデス』
この…マセガキ!!
高校生の男の子が言葉攻めとかそんな単語を簡単に言うんじゃありません!
……唯一、私が工藤君のことを好きだって分かった人間だからか事ある毎に虐めてくる。
私の周りの男の子はSが多すぎます…!
「へぇ…薬で体を小さくねぇ。まぁ、トリップしてきてる名前がいんだからそんなに驚かねーけどよ」
『……このことは』
「ん?あぁ、誰にも言わねーよ。言ったってオレにメリットがある訳じゃねーし」
……快斗にメリットがあったらバラすんですか。
でもおちゃらけて見せてるだけで、絶対に嫌がることはしないって分かってるから安心できる。
「………余計、何でオレじゃねーんだろって思うよな」
『え?何?』
「…んーん、何でもねーよっ!あっ、あそこ入ろーぜ!」
アイスクリーム店に行ってしまった快斗を慌てて追いかける。
憂えた顔が気になったけど…一瞬で元の快斗のテンションに戻ったから首を傾げるだけに終わった。
快斗は何て言ったんだろう?
そんなことがあって数日が過ぎた。
コナン君とは意識しながらも、それを出さずに今まで通りに振る舞ってる。
何回か事件にも出くわしたりしたからその度にコナン君が怪我をしないかハラハラと精神を削ったりもした。
…探偵としての好奇心で事件に首を突っ込むことは当たり前、正義感が強いから危ないこともする。
心臓がいくつあっても足りないなと改めて実感する。
好きな人が危険にさらされるってことが余計に怖かった。
でも彼は探偵だから…それに、彼の事件を解いた時のキラキラした表情が好きだから。
私がフォロー出来る所はしてあげたいし、危なかったら助けたい。
これからも起きる数々の事件と彼を思って目を閉じた。
prev / next