運命の人 | ナノ


60周年記念船上パーティー開始



キッドの予告した4月19日がやって来た。
今日は鈴木財閥60周年記念船上パーティーだから正装をしなきゃいけないと、今まで手にすら取らなかったドレスを着る。
あれも良いこれも良いと買ってくれた有希子さんイチオシは淡い水色のドレス。
体のラインを強調する様なデザインのそれは案外、スカート丈が短くて恥ずかしい。
有希子さんによれば、足綺麗なんだから見せなきゃダメよ!何より若いんだからっ!…とのこと。
……それにしたって短くないかい?
膝上15センチ…20センチはありそうなスカートは生足が晒されている。
やっぱり違うのにしようか…でも、他のもミニなんだよなぁ。
そりゃあ、私みたいな身長の低い奴がロングスカートはくより蘭みたいに足の長い子がはいた方が綺麗だけど。
着ちゃったし…いっか、これで。


あれから数日、まともに話をしてくれなかったコナン君との仲直り?の会話を思い出しながらメイクをする。



『ねぇ、コナン君……この間から何、怒ってるの?』

「………オメーさ、男に対して危機感なさすぎ」

『へっ?』

「キスされて、口説かれてんのに普通に対応するってどういうことだよ」


いや、あのキスはビックリしたけど手の甲だし、口説かれるっていうかあれが標準仕様のキッドだから普通だと思ってたっていうか……はい、すみません。
謝るのでまたキスされた右手の甲を睨むのは止めてくれませんか。



『……ごめん、ね?これからは気を付けるよ』

「…分かれば良い」

『お父さんみたいだね、コナン君』

「………」



回想終了と一緒にメイクが終わる。
髪の毛も整えて、準備完了!
鈴木財閥60周年パーティーに向けて気合いを入れた。





Q.セリザベス号に乗り込み、記念パーティーが始まった。
壇上に上がって鈴木会長がスピーチをしている。


「我が鈴木財閥も今年で早や60周年。これもひとえに皆様のお力添えの賜物でございます。今夜はコソドロのことなど忘れて、500余名が集まった優雅かつ盛大な船上パーティーをごゆるりとお楽しみください」

「その前に…今夜は特別な趣向がこらしてあります」


鈴木会長の後ろから出て来たのは、園子のお母さんで名前は鈴木朋子さん。
そりゃあ、あれだけお母様が美人だったら園子も綺麗に生まれるよなと納得。



「乗船する際に皆様にお渡ししたこの小さな箱、さぁ…お開け下さい」


お母様の言う通り乗船する時に貰った箱を開けてみると、黒く光り輝く宝石。


「そう、我が家のシンボルでもあり怪盗キッドの今夜の獲物でもある漆黒の星ですわ!勿論、本物は一つ。それを誰に渡したかを知っているのも私一人…後は全て精巧に造られた模造真珠という訳です。さぁ皆さん、それを胸にお着け下さい」


そしてキッドへの挑戦状とでも言う様に啖呵を切った。
園子のお母様凄いなぁ…私にはとても無理だ、やろうと思わないけど。
お母様に感心していると隣の園子がキョロキョロとしているから、どうしたのと問いかける。



「見当たらないのよ、姉貴の姿が…まさかまだ家に…」


携帯を取り出して園子が家に電話している。
何か出来る訳じゃないから大人しく園子の会話を聞いていると、どうやらお姉さんはこの船に乗っていないみたい。
そして、お父様も。
それじゃあさっき壇上でスピーチしてたのは…キッドが変装してたのね!?
同じことに気付いたのかコナン君が走って会場から出て行ってしまう。


「コ、コナン君!?」


キッドを探しに行ったんだろうな。
私も行こうと蘭と園子に断ってコナン君の後を追い掛けた。

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