運命の人 | ナノ


降り立つ怪盗



博物館を出た瞬間に手を離されてまた私の心はブロークンハート。
……そんなに強引にいったことが嫌だったのかしら。




『解けたんだよね?キッドの予告状』

「あぁ」


コナン君がそれから話す暗号の意味はまったくもって分からなかった。
人工衛星と太陽の間に月が入る「食」の瞬間、BS放送がどうとか、電波が送信される方向がどうとか…頭の悪い私にはさっぱり分かんなかったけど、たった一つ確かに分かったことがあった。



「米花博物館から見てそれに該当する場所は、杯戸シティホテルの屋上のみだ」

『それさ、私も行って良い?』

「はぁ!?」


な、何故そんな顔をするんですか!?
足手纏いになるから来るな!って意味の表情ですか。



「……オメー、キッドに会いたいとかそんなミーハー心で行きたいとかじゃねーだろーな?」

『…そんな馬鹿な。杯戸シティホテルの屋上に、子供だけで入れると思う?夜だからって人がいない訳じゃないんだから、一人くらい高校生がいた方が誤魔化しやすいと思うんだけど…駄目?』

「…っ、…別に、良いけど、邪魔すんじゃねーぞ!」

『うん、ありがとっ!』



首を傾げればコナン君は少しだけ頬を紅潮させて目を逸らした。
どうしたんだろうか?
まぁ、いっか!着いて行ってもいいって言ってもらえたし。

キッドに会いたい思いも少しはある。
だって元の世界にいた時はトップ3に入るくらい好きなキャラだったし。
白い怪盗さんとの初対面は今日。
快斗は、どんな反応をするのかな。










約束通り、11時頃に毛利探偵事務所でコナン君と待ち合わせて杯戸シティビルの屋上へ向かう。
此処へ来る前に阿笠博士に優作さんの犯罪ファイルを調べて怪盗1412号について調べてくれるように言ったらしい。
あらー…電話しよう、もう工藤邸でファイル探してるよね。
走りながら工藤邸に電話すると博士が出たから、ファイルが置いてある自室へ行ってもらう様に頼んで電話を切った。


「…もう調べてたのかよ」

『理数系以外だったら勉強家だよ?』


理数系はぼろっぼろで勉強なんてしたくないけどね!
他のことだったら勉強熱心よ、わたくし。

話しているとあっという間に杯戸シティビルに着いた。
やっぱり中には普通に一般人がいた、けれど…警察官もいるみたい。
…誰か、此処が本当のキッドの予告場所って解けた人がいるんだ。
誰?他の探偵?刑事?



考えながらコナン君と私は屋上へ。
ヘリが飛んだり、光によって侵入者を見逃さない様に照らしている所が米花博物館の方向。



持って来たリュックの中から空き缶、ロケット花火、ライターを取り出す。
それをコナン君がセットして準備万端。
後はキッドが此処へ来るのを待つだけ。

すると、コナン君の携帯が鳴った。
電話の相手は博士らしい、私の部屋からキッドのファイルを見付けて調査の結果を話している。


「で?どんな奴か書いてないか?」


博士の声は小さく聞き取りづらいけど、昨日読んだファイルのことを言っているだろうから私も思い出す。
初代怪盗キッド…盗一さんが初めて世にその姿を現したのは18年前。
彼を称する形容詞は数々あって「平成のルパン」「月下の奇術師」
たくさんあるけれど…その中でも最も多い通り名が優作さんが名付けた、K・I・D


夜の闇にその純白の羽を広げている紳士。

怪盗キッド。

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