運命の人 | ナノ


少年探偵団登場!!



夜になると考えるあの時の情景。
気になるのは……ジンのあの言葉。

「お前は俺達から逃れられない運命なんだよ」

そして…リリィ。
名前…もしかしてコードネーム…?
私を見て言ったリリィという名前に聞いた覚えがある気がしたのはどういうこと…それに、逃れられないって。
ズキズキ、頭痛ばかりがする。
それでもあの夜、工藤君の前で泣いたからなのかは分からないけど…心は少しだけ軽くなった。
私があの後こうして笑っていられるのは工藤君があの夜一緒に居てくれたから。
心配、かけちゃった。弱い部分も見せちゃったし。
でも工藤君がトロピカルランドで言ってくれたこと、笑顔も泣き顔も見せれる場所になってくれるって言葉。
思い出したから、あの日工藤君の所へ行った。

………時間はかかる、でも私は此処で立ち止まる訳にはいかない。






あの日から何日か過ぎた日の昼。

あ、れ?
前方に見えるのはまさか……少年探偵団の皆?

家に帰っている途中に青い服の男の子が見えた。
その後ろ姿は良く知っているし、その横に並んでいる子達も私が一方的に知っている。
横にも縦にも大きい元太君にスラッとしている光彦君、そして小さくて可愛らしい歩美ちゃん。
話しかける為にたったと走って近付く。




『コナン君!』

「え……名前っ!?」



……何をそんなに驚く必要がありますか。
というかコナン君、皆の前で私のことを呼び捨てにしても良いのかな?



「誰だ?このねーちゃん?」
「コナン君は知ってる様子でしたけど…」
「わー可愛いお姉さん!」



知らない人物で疑いの眼差しを向けて来たり、純粋に疑問を浮かべてたり、可愛らしく頬を染めていたり…文字通り、三者三様の反応で苦笑してしまう。


『こんにちはっ!私、名字名前っていうの。君達は?』

「オレは小嶋元太!」

「円谷光彦です」

「私、吉田歩美!名前お姉さんはコナン君のこと知ってるの?」


もう名前付きで呼ばれちゃったよ、嬉しいなぁ。
小さい子好きだから可愛くてしょうがない!抱き締めたいんだけど…駄目だよね。
さすがに会って1、2分の人間に抱き締められるなんて怖すぎるだろうし…何よりも、こんな歳で小学生誘拐とかで捕まりたくない。
えっと…どう言えば良いかな?


『うん、知ってるよ。一緒に住んでた人の遠い親戚の子だから。工藤新一って聞いたことない?』

「あ、知ってます!数々の難事件を解決してる高校生探偵の方ですよね?」

『そうそう!小学生でも知ってるなんてさすが工藤君だなぁ』

「いやぁ…アハハ」

「?何でコナンが照れてんだよ?」


照れているのか目の端でコナン君が頭をかいた。
コナン君の姿で照れるのはすっごく可愛いけどそれを高校生の体でやったら…………うん、想像しなければ良かったかな。
まぁでもきっと可愛いー!なんて言われると思うな、工藤君だもん。



『皆はこれから何処かへ遊びに行くの?』

「んー、阿笠博士の発明品を見る為にお家に来たんだけど急に用事が入っちゃったみたいでこれからどうしよっかって話してたところなの」

『そうなんだ。んー…じゃあ、家に遊びに来る?ちょうどおやつもあるし、皆が良かったらだけど』

「行く行くっ!!」


一番に名乗りをあげたのはやっぱり元太君。
それに続いてあとの二人も賛成してくれた。
…可愛く首を振ってくれる三人とは違い、コナン君はその様子を見ているだけ。



『……何ー来るの嫌?』

「や…そんなんじゃねぇけど」

『コナン君の好きなレモンパイ作ったからおいで?』

「おいでって…子供扱いすんなよ」

『…えっ!?だって今は子供でしょ?』

「………あ?」


いつ受けても……コナン君のその目力で殺されそうです。
そんな怖い目で見なくっても…!


『ごめんなさい調子に乗りました。…でもレモンパイ作ってあるのは本当だから』

「…わーったよ」


何だかんだ言いながらコナン君は来てくれるから嬉しい。
ちょうどコナン君に食べてもらおうと思って作ったレモンパイだったから良かった。
少年探偵団の皆とも仲良くなれそうだし…私は足取り軽く、皆を連れて家に帰った。

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