運命の人 | ナノ


名探偵からのメール



食パンをトースターで焼きながらテレビから聞こえる天気予報に耳を傾ける。



“今日の天気は朝から曇り始め、夕方から雪がちらつき始めるでしょう。外出する際は防寒対策をしっかりして下さい”

“今年最後の雪になるだろうとの事です”



『雪かぁ…』


そういえば雪なんてめっきり見てなかったな。
寒がりで冷え性だから雪が降ってる時に無理して外に出たりはしてなかったし。



『…見たいな』



久しぶりに雪が見たいなんて無謀な事を考える。
園子…は今日、財閥のパーティーに参加するって言ってた。蘭も妃さんと食事だって言ってたし…。
……一人で見に行くくらいなら大人しくしてよう。
最後の雪を見れないのは切ないけど。



「名前」

『あ、おはよう』

「今日、目暮警部に呼ばれてて昼飯いらねーから」

『そっか。頑張ってね』



最近はこういう会話が多くなってきた。
工藤君が高校生探偵として名をあげていくのはとても嬉しい事。
…なのだけど、名をあげればあげるほど工藤君が危ない事件に巻き込まれないか心配になる。
解決すればそれだけ加害者に恨まれる事もあるだろうし。
……こんなに不安なのは、きっと工藤君がもう息子的位置にいるからだろう。いや、息子よりは弟かな?


呼ばれてる時間まで時間が無いのか、食パンをくわえて玄関まで行く工藤君を見送る。




「……今日の夕方メールするからちゃんと見ろよ?」

『…?うん、分かった』



何でメール?
今から帰るって事を送ってくるのかな?
分からないけど夕方に来る工藤君のメールを待ってれば良いんだよね。

事件だと喜び勇んで家を出ていく工藤君を手を振って見送った。
…さて!じゃあ、名探偵が帰って来るまで部屋の掃除でもしてようかな。







窓から差し込める光が暗くなり、時間が過ぎていた事を知らされる。
図書館の様な蔵書量を誇る米花町立工藤図書館を一日で片付けられる訳が無く、おまけに面白そうなミステリー小説があったらパラパラと読んでしまったりしていたから掃除もあまり進まなかった。
…まぁ大掃除じゃないから地道にコツコツと一段ずつ掃除してけば問題無いよね。
ちょうどこの本をしまえば一段落するし、夕御飯の準備でもしようかな。

そう思ったらリビングからメールが来た事を告げる着信音が聞こえて来た。
工藤君かな?
本を本棚にしまってリビングの携帯を取りに行く。

思った通りメール相手は工藤君。



To: 工藤新一
Sub: Re:
本文:
今から米花公園




『…みっじか!』


そりゃあ今までだって長いメールが工藤君から送られて来た事は無かったけど、用件も何も無しで米花公園集合ってどういう事なのさ。いや、行くけども。
…米花公園で何かあるのかな?



コートを着て防寒対策をしっかりして家の鍵をかける。もう一度ドアを引いてちゃんと閉まっている事を確認して米花公園に向かった。

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