目の前に広がる夢の国
電車を乗り継いでやっと着きましたトロピカルランド!
入場口には溢れんばかりの人、人、人。
どこの世界でも遊園地は人でいっぱいらしい。
チケットを係りの人に渡して入場する。
中に入ると、きゃーきゃーと絶叫マシンに乗っている叫び声がより一層近くなった気がした。
軽快な音楽も耳に入って来て遊園地に来たんだって実感。
「んで?どこ行く?」
『んー…』
パンフレットを広げて現在地を確認してから周りのアトラクションを見る。
どのアトラクションも魅力的で全部回りたいくらい。
『全部、行きたい!』
「あのなぁ…トロピカルランドの敷地面積とアトラクションの量分かってんのか?休日だし人も多いんだ、一日じゃ回れねーよ」
『うーん……じゃあ、』
パンフレットを見て、近場で面白そうなアトラクションを指差す。
んじゃ行こうぜ。と前を歩く工藤君の後を着いて行った。
長い列の最後尾に並んで待つ。
ふ、と横に並ぶ工藤君の横顔を見上げた。
…あんまり楽しくないかな。さっきから余り笑顔を見せてくれないし。
自分の事ばっかり考えて工藤君の事を考えてなかったや。
『無理やり連れて来ちゃったみたいだし…嫌だった?』
「え?」
『さっきから笑ってないから。嫌だったら帰っても良いよ?一人で帰れると思うし』
「そういうんじゃねー!」
手首を強引に握られて工藤君の真剣な瞳と見つめ合う。
やっぱり怒ってる…のね。
「どうしたら良いか分かんねぇだけでっ………あーもーっ!!」
『!?だ、大丈夫?どうした工藤君?』
突然叫び声を上げて頭をわしゃわしゃと掻き毟った工藤君は頬を染めた。
その顔……可愛いですな君。
「その…い、嫌じゃねぇから。だから…楽しもうぜ!前、トロピカルランドのCM見て目キラキラさせてたから来たかったんだろ?」
『…うんっ!』
やっぱり私は工藤君が笑った顔が好きだ。
嫌な事も、不安だった事も工藤君の笑顔を見れば忘れられる気がするから。そういえば最近、工藤君の笑顔見てなかった…あれか、自室に籠ってたから。
うん、いつ見てもキラキラ笑顔ですね!
笑いかけてくれる彼に向かって私も笑った。
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