運命の人 | ナノ


チョコに感謝の気持ちを込めようか



『え?チョコレート?』

「うん、そう!」



あぁ…そういえばそんな時期か。
間近に迫ったバレンタインデーに備えて女の子達はそわそわとしだして、男の子もそわそわしているみたい。
意中の子から貰えるかな…なんて普段よりも数倍自分を格好良く見せようとしたり、普段よりも優しくしてみたり。
……青春ねー。




「アンタは勿論、新一君にあげるんでしょ?」

『へ?』



もちろん?勿論って何で?あ、同居してるからか。
うーん…でも、いつも何かと食べてもらってるからなぁ。今更、というか。
工藤君は蘭から愛の籠ったチョコを貰うだろうし、それだけでお腹がいっぱいでしょう。
べ、別に新一の為に作ったんじゃないんだからね!作ったのが余ったから…幼馴染みだし?とか何とか顔を赤くしながら言う蘭を見たい!



『蘭から貰うでしょ?』

「義理だけどね」

『じゃあ私のはいらないんじゃ、』

「何言ってんのよ!好きな子から貰うのが嬉しいんじゃない!」

『だから蘭から貰えるじゃん』




首を傾げた私に園子が溜め息をついて額を押さえた。
何でそんな顔をしてるの?



「………新一君も可哀想だけど、名前の将来も心配になってきたわ」

「…うん」

『何々?私がどうかした?』

「何でもないわよ!新一君を悲しませない為にアンタもチョコレート作って渡しな!」

「一緒に作ろう?今度の土曜日、お母さんの家で作ろうと思ってるんだ」




なんて可愛い笑顔で言った蘭を断れる訳もなく、次の土曜日に園子も含めて蘭のお母様の家でチョコレート作りに励む事になった。
……お母様と言ったら…妃英理弁護士ですよねっ!?有希子さんと並ぶ美人さんでキリリとした眼鏡と綺麗な美貌が印象的な法曹界の女王。
それだけでチョコレートを作る甲斐があるってもんだ!
蘭の愛のチョコと比べたら劣るだろうけど私も工藤君にあげようか。
ありがとうと、感謝の気持ちを込めて。

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