運命の人 | ナノ


教えて下さい先生!



工藤君婚約者騒動もひとまず終息した。
園子情報によればそういう話題に関心が無いのか、工藤君は否定も肯定もしておらずからかってくる子達を煩わしそうに避けていただけらしい。
あんまり気にしない性格なんだろうな。
私は全力で否定しました。だって蘭を不安にさせたくないもの。

まだまだ七十五日には遠いけど、初日に比べればマシかなと思う。





そんな噂を気にしている間もなく、二度目の高校生活初めてのテストが迫って来ていた。




『む……』



机の上の教科書とノートを睨み付ける。睨んだから問題が解けるって訳でもないのは重々承知だ。
……やっぱり数学は苦手。数式を見ると眠くなって来ちゃうし、高校時代も赤点スレスレで合格してたからなぁ。文系は満点近いのに理系はからっきしなのよね。
それでも高校は卒業できたからなのか、ある程度は思い出したけど…ちょっと応用をきかした問題が出て来るとさっぱり。
…はぁ……ここは彼に助けを乞うしかない。







コンコンと軽くドアを叩く。中から応答の言葉が聞こえて私はドアを開けた。



「どうしたんだよ?」



……テストまであと少しだってのにこのお坊ちゃんは本を読んでらしたよ。
探偵である工藤君なら高校一年生の問題なんて朝飯前なんだろうな。



『緊急SOSです、工藤君。数字が頭の中でぐるぐる回ってて、間違って私が数字になりそう』

「…要するに、問題が解けないっつー事だろ」

『教えて下さい先生』

「………」



私を可哀そうな子でも見る目で見た工藤君は大きく溜め息をついて読んでいたハードカバーの本を閉じた。…そんな顔しなくても。
わざわざ椅子を持って来てくれた工藤君にお礼を言って勉強会が開始された。

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テーマ「人外ファンタジー」
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