運命の人 | ナノ


騎士の目覚め



倒れた工藤君が保健室に運ばれようとしている。
横目で見たらコナン君が平次に耳打ちしていたから…きっとこの場は大丈夫。
…あれは、コナン君じゃなくて哀ちゃんだと思うから。
むしろコナン君に成り済ませるのは哀ちゃんしかいない。
私の足りない頭じゃどうやって対処したらいいか分からなくて空回りするだけだと思うけれど、哀ちゃんと平次なら…そう思って私は保健室へ向かった。





保健室へ運び込まれても工藤君の体は縮まなかった。
蘭だけじゃなく園子、和葉も一緒に着いて来てくれてその後ろから他の生徒や先生が着いて来る。
…皆が心配そうに工藤君を覗いているのを見ると、やっぱり彼は人気者だなと思う。
彼の愛され具合に羨ましくもあり、また…彼との距離を遠く感じて寂しくもある。

蘭を帰って来た彼の一番近くにいさせようと思って、私は少し離れた所から工藤君を見てる。
そりゃあ…私も心配だし、工藤君の傍にいたい気持ちはもちろんあるけど。
それよりも蘭が隣にいた方が工藤君は嬉しいと思うから。



「ほら、名前何やってんのよ!」

「えっ…え!?」

「工藤君が目覚ました時にアンタが傍にいなくてどうすんの!」


何それどうしてなのさ!
工藤君だって目を覚ました時に私よりも蘭の可愛らしい顔があった方が嬉しいでしょ。
そんな抗議をしようと園子を見るけれどグイグイと引っ張られて、ベッドの近くの椅子に座らされる。
…心の中で蘭と工藤君に謝って彼を見た。
さっきみたいな苦しい表情はしてないから落ち着いたのかな…?

覗き込めばゆっくりと工藤君の目が開かれる。



「おー工藤!目ぇ覚ましたか!!」

「良かったー気ぃついて!」

「もぉ心配させないでよね!」

「良かったぁ、工藤君……体、大丈夫?」



「へ?へ?あれ?」



驚いている様子を見ると、何でコナンに戻ってないのか不思議なんだと思う。
ああでも本当に良かった…ほっと胸を撫で下ろして起き上がった工藤君を見た。

何年振りかの学祭である、帝丹高校学園祭は終了した。
まだ明日には学園祭の片付けが残っているから、それが終わったらだけど。


今日は……工藤君がまた帰って来たことを、素直に喜んでも良いかな?

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