運命の人 | ナノ


崩れ落ちる騎士



仮面を脱いだ工藤君はビックリするくらい格好良くて、そしてドヤ顔だった。
…何、キマッたなんて顔をしているんだい君は。


工藤君の登場に体育館内のザワつきは大きくなっていくばかり。
そりゃあ高校生探偵として有名な工藤新一が見れればミーハー心が疼くわよね。
その舞台が今現在、殺人が起こった現場であれば名推理が間近で見れると余計に。



「工藤!工藤!工藤!!」

「シッ!静かに…。祭りの続きはこの血塗られた舞台に幕を下ろした後で」


工藤コールが始まってしまって終わる予感がしないと思っていたら、工藤君が気障なセリフで体育館内をまた静寂へと戻した。

……と、いうか。



「く、工藤君…?」

「あん?」

「…本当に、工藤君?」

「バーロ、寝ぼけたこと言ってんじゃねーよ。後で大事な話があっから…あの時みたいに逃げんじゃねーぞ」


一瞬、本当に夢かと思ったけれど…夢じゃない?
も…元の体に戻ったってこと…?



「……って、ああああの時って…!?」


まま、まさかあのアクアクリスタルでのキスの話をした時に脱兎の如くお風呂場まで逃げて行った話…!?
わたわたと慌てていると工藤君が持っていたスペイドの仮面を私に渡して、平次の所へ行ってしまった。
……ああ、推理ショーが始まるのね。

一体…何を話されるんだろう。








工藤君の推理で今回の事件は解決した。
やっぱり工藤君は推理してる時が一番キラキラしている顔をしていると思う。
そんな顔を見れて嬉しいのと、こんな大勢の人がいるのに姿を現して良いのか…心臓のドキドキがどっちの意味でなのか分からない。

二人が喋っているのを見ていると工藤君が突然、苦しそうに椅子の上に倒れてしまう。



「工藤君っ!!」


荒い息、額にかいた汗、……もしかして体がコナン君に戻ろうとしてる?
この感じはあの辻村さんの家で、初めて工藤君がコナン君に戻った時と同じ症状な気がして焦りが生まれる。
…こんな所で工藤君がコナン君に戻ったら、蘭達だけじゃなく今此処にいる全ての人が危なくなってしまう。
どうするどうする…女の私じゃ工藤君を担いで連れて行くことは出来ないし、かといって…心配する蘭が着いて来ない筈がない。
と、取り敢えず平次に頼んでそれから……私がワタワタしていると椅子に体を預けていた工藤君が糸が切れた様に床に倒れ込んだ。



「…っ工藤君!!!」

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