天使様の衝撃発言
有希子さんと一緒に来たのはランジェリーショップ。
必需品である女の子の日用の物も揃えて来て、あとは下着だけ。
色取り取りの可愛らしい下着を見ながらどれにしようか決める。
隣で一緒に見ている有希子さんも買うらしく、これ良いわねーなんて言いながら見ていた。
「名前ちゃん」
『はい?』
「高校の事は任せて。ちょうど良い時期だし、冬休みが終わったら編入出来る様にするわ。何か聞かれたりしたら私達の親戚とでも言っておけば良いし」
『…本当に何から何まですみません』
「私は名前ちゃんの笑顔が見たいの。次からごめんなさいもすみませんも無し!今度来る時は優作を紹介するわね」
『はい…!……あの、有希子さんはいつ日本を発つんですか?』
有希子さんの笑顔は工藤君と同じくらい安心してドキドキする。そのビジュアルもそうだけどやっぱり親子揃ってキラキラしてるなって思う。
これだと紳士代表優作氏もきっとキラキラ笑顔なんだろうな。…楽しみ、かもしれない。
この笑顔が見れなくなるのは寂しくて、いやそれよりもきっと…こっちの世界ではもう絶対に会う事の出来ないお母さんに有希子さんを重ねてしまったのかもしれない。
だから縋る思いで見つめてしまった。
「………名前ちゃん」
『?』
「やっぱり可愛過ぎるわー!!もう親戚じゃなくって新一の婚約者で良い!家にお嫁に来て!」
『ちょっ…何言ってるんですか!』
ランジェリーショップで抱き合う私達を周りの人が変な目で見て来ている。
恥ずかしい…!というより、この方は一体何を言ってるんですか!?工藤君のお嫁さんになるのは蘭だから私じゃないです!それ蘭に言ってあげて下さい!!
その後は……順調に下着を買っていただきました。
有希子さんに手を握られながら。
荷物を車に乗せて待っていた工藤君の元へ行く。
私を見た工藤君が紳士らしく持っていた荷物を取ってくれた。
「…何か疲れてるみたいだけど母さんが何かしましたか?」
『ううん、何もしてないよ。周りの視線にやられただけだから』
「は?」
「さっ!家に帰るわよー!」
まだまだ動けそうな有希子さんの車に乗って私達は工藤邸に帰宅しました。
帰ったら工藤邸の一室を私の部屋にしてくれたり、これからの為に携帯電話も買っていただいたりと本当に何から何までお世話になってしまっている。
……有希子さんに言ってもらった様に、私は感謝しようと決めた。たくさん笑ってたくさん感謝しようって。
今日は一緒に料理を作ろうと言ってくれた有希子さんと一緒にキッチンに立つ。
残り少ない有希子さんとの時間を楽しんだ。
これで優作さんがいたら……なんて、叶いもしない事を頭の片隅で考えてしまった。
prev / next