運命の人 | ナノ


メインヒロインはだぁれ?



1日の最後の時間と言えば睡魔との格闘。
しかもHRときたもんだから余計にキツイ。
議題は2ヶ月後に迫った帝丹学園祭で何をするか。
クラス委員長の男の子と女の子が前に出て、何かしたいこととかありますかー?なんて聞いている。

学園祭かぁ……なつかしいなぁ。
元の世界でやったことといえば定番の出店とかばかりだったけど、やっぱりとても楽しくて最高だったのを覚えている。
もう一度、その楽しさを味わえるのは悪くない。
元々、お祭りごととか楽しいことは好きだしね。
嫌いじゃないんだけど…今は睡魔の方が強くって。
うとうととしてしまう中、黒板に書かれた項目を見る。
出店…喫茶店…劇…。

ああ、もう駄目。
何に決まったとしても私にはそんな重要な役回りは回って来ないだろうと瞳を閉じた。
……のが間違いだったと気付くのは数十分後。






「ふぇっ…?ん…?え、えええええええ!?」


ちょ、ちょっと待って!おかしいおかしい!!
黒板を見た私はまだ授業中だと言うことも忘れて叫んだ。
何個も出ていた案の中、劇にチョークで大きな丸。
その左から大まかな役が書かれていた。
監督兼脚本、鈴木園子。
小道具、衣装、音響、それから役名もまだ決まっていない配役がいくつか。
そして……メインヒロイン、名字名前。
ど う い う こ と


すぐに抗議しようともう既に監督になりきって、教壇の所で話している園子を睨む。



「園子っ!!それどういうこと!?」

「不満?」

「不満でいっぱいだよ!何で私の名前がっ…メインヒロインって何!?」

「そのままじゃない。超大作のラブロマンスを書いたげるから楽しみにしなさいよー!」

「あああ余計に駄目じゃない!それにメインヒロインなら我らが蘭がいるでしょう!?」

「わ、私?」


どうですか皆さん!私なんかよりもメインヒロインで、帝丹高校でも男女問わず抜群の人気を誇る蘭の方が良いでしょう!!
と、力説したら…園子に反論されてしまった。


「ヒロインは蘭か名前どっちが良い?って皆に聞いたら見事に票が分かれたのよ。ヒロインどう?って蘭に聞いたら恥ずかしいって言うんだもの。…で、アンタにも聞こうとしてたら気持ちよさそうに夢の中にいたと」

「……」


は、反論が出来ない…!
確かに寝てた私もいけないけれど…私も恥ずかしいよ!?



「……で、でもっ」

「で・も?話し合いに参加せずに寝てたのは誰かしら〜?」

「………うぅ」



やれば良いんでしょ、やったるわー!!
なんて半ばムキになってその言葉を叫んだ。
自業自得と言えばそれまでなんだけど…どんとこいやぁ!!

…と思った後、私は心の中で大きな溜め息をついた。
泣いてしまいそう。

prev / next

[ back to top ]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -