お買い物デート
一日経って…じゃあ生活用品を揃えに行かなきゃね!なんて、ルンルンと今にもスキップしそうな有希子さんに連れられてショッピングモールへ。
「これも似合うわね!」
『ゆ、有希子さん…』
「んー?」
『あの……工藤君が見えなくなってます』
荷物持ちにさせられている工藤君の両手にはショップ袋。靴も買ってくれて積まれている箱で工藤君の顔が見えない。…バランス感覚が素晴らしいね。落ちないのが不思議。
「どれだけ買ってんだよ。名字さん、着せ替え人形みたいになってんじゃねーか」
『あははは…』
工藤君の言葉の通り、アレを着てみてコレを履いてみてと有希子さん専用着せ替え人形になっていたけど、気も紛れているし生活用品も必要だからされるがままになっている。でも……ドレスって要らなくないですか?
いつ使うのこんなヒラヒラドレス!大富豪のパーティーにでも参加出来そうな高そうなドレスを購入した有希子さん。
………お金返せるかな。本格的にバイト探しに明け暮れなきゃいけない気がする。
「お金の事は気にしなくていいからね」
『有希子さんはエスパーですか!?』
「あ、じゃあやっぱりその事を考えてたのね」
嵌められました。思っていたと言わんばかりの言葉を発してしまった私も私だけど、有希子さんなら本当に私の考えている事が分かっていそうで怖い。
「新ちゃんは先に車に荷物置いて来て」
「は?まだ買うんだろ?」
積まれている箱の横からひょっこりと顔を出した工藤君がそんな事を言う。
……まだ持つつもりなの?さすがの工藤君も無理なんじゃないかと持つよ、と言ったけどやんわりと断られてしまった。
行き場の無くなった私を有希子さんが抱き締めてくる。
「これからは女の子の世界だから男の子はダーメ!」
……私、本当に有希子さんは天使なんじゃないかって思い始めました。もしかしたら女神?どっちにしたって神々しさと可愛らしさを併せ持ってるよね。
こんなにウィンクが似合うお母様はこの方しかいないと思う。
「………、っあ!じゃあ…先に行ってるから。あんまり買い過ぎんじゃねーぞ!」
有希子さんが言っている意味を理解したのか顔を赤くした工藤君が去って行く。
あんまり買い過ぎんじゃって……君の稼いだお金じゃないでしょう。その稼ぎを私に使わせてしまっているのも申し訳ないけど。
「ふふっ、じゃあ行きましょう」
『…はい』
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