運命の人 | ナノ


ツンデレ少女



ピンポーン、家のインターホンが鳴って読んでいた雑誌を置いて玄関へ向かう。
哀ちゃんかしら?



「はいはーい。哀ちゃ、……ん?」

「わぁ……聞いてた通りちっさくて可愛えぇな」


……なして此処に和葉がいるの?
というか…いつかのあの時を思い出す。
あれですかね?大阪の子達は突然来るのかな?



「あ、アタシ遠山和葉いうんやけど…」

「知ってるよ、平次から聞いてたから。一回、私と平次が電話してた時に聞こえた声の子だよね?」


実際会ってみるとやっぱり可愛いなぁ。
綺麗な黒髪は高い位置でリボンで1つに括られていて、ゆらゆらと揺れている。
そして…私よりも大きな身長。
この世界のメインに出てくる女性は皆綺麗、可愛いが揃っていて羨ましいことこの上ない。
なんて心の中で思っている私の思考を読みとられたのか和葉が私のことを訝しげに見ている。


「あ、あの…遠山さん?どうしたの?」

「…アンタ、平次のこと好きやないよね?」

「………はい?」


えーっと…何でそんなことに?
あぁ、私が平次と電話で話したり…名前を呼んでるからかな?



「彼に恋愛感情はないから安心して」

「……」


…信用されてないみたいです。
んー…どうしたら信用してもらえるんだろう。
取り敢えず、


「中、入る?」

「えぇの?」

「うん、時間あるかな?」

「うん」


ツン…ツンなんだろうねこれがっ!!
仲良くなりたいなぁ。
ちょっと睨んで来る和葉の視線に負けそうになるけれど、心を強く持って家に招待した。







半ば事情聴取的な雰囲気が漂っている中、用意したココアを口に運ぶ。
何から話したら良いんだろうか…誤解を解くのが先?
でも私から話せる様な状況じゃないんだけれども…。



「…ほんで?ホンマの所はどーなん?」

「遠山さん、本当に平次のことが好きなんだね」

「は、はぁっ!?ただアタシは平次の幼馴染として、あのアホのこと気にしてるだけや!!」

「かわい…」

「は!?何…」

「いや、顔赤くしてる遠山さんが可愛いなぁと思って」


素直な言葉を口にしただけなのに和葉はもっと顔を赤らめた。
あぁ、その顔を見て平次は何とも思わないなんてあれだね、あの子は男の子の風上にも置けないね。
真剣な顔でそんなことをさらりと言ってのけた名前に、和葉はさっきまでの感情が何処かへいってしまったのを感じた。
この子は天然なのか、ただ素直なのか…




「…それに、ね?私、ちゃんと好きな人がいるから」

「え?」

「あ、平次じゃないよ?だから…安心して下さい」



訝しんだ様子だったけれど、一応納得はしてくれたのかな?
不服そうではあるが、そういう話に興味津々なお年頃の和葉は突っ込んで聞いてきた。


「誰なん?アンタが選ぶ人なんやから、えぇ人なんやろ?」

「う……」


そんなキラキラした目で見ないで下さいませんか…!
和葉との距離は縮まった気がするけれど、これじゃあ私はどうしたら良いのか身の置き場が分かりません。



「……う、ん、良い人だよ。とっても、素敵な人。正義感が強くて、自分よりも他人のことを考えてて…優しい、遠い人」


近いのに、こんなにも遠く感じる。
叶わない想いだけどそれでも私が工藤君のことを好きな気持ちを大切にしようって思っているから。
工藤君と蘭が付き合ったら笑って祝福するんだ!



「…中学生みたいやなぁと思ったら、何や急に大人っぽくなったなー。アタシより年上に見えんで」

「そ、そう…?」


ギクリとして背中に冷や汗をかいているなんて秘密だ。
本当は和葉よりも年上だなんて…言えない。




「あ!ほんでな、この後蘭ちゃんの家に寄んねん。アンタも来る?」

「もう蘭と仲良くなったんだね!んーそうだな…うん、いこっかな!」



しっかりとココアを飲んでくれた和葉が使っていたカップをシンクに入れて、私と彼女は毛利探偵事務所に向かった。

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