運命の人 | ナノ


迫り来る恐怖



叫び声に出口を探しに行った人達がホールに集まった。
…この中に犯人がいる。
警戒して蘭とコナン君を守る様に前に立った。
目暮警部や毛利さんが目の前にいる状態で殺人を犯すことはないと思うけど。

また犠牲者を出したのが悔しいのか毛利さんが突っ走って村上を探しに行った。


宍戸さんが検視の為に写真を撮り、目暮警部が奈々さんの体を調べている。
コナン君の助言で暗闇の中で奈々さんの居場所が分かった要因の着け爪が取れていることが分かり、爪をハンカチで摘まみ上げていた。
私はその奈々さんから少し離れた所からその様子を見ている。

村上を探しに行った毛利さんと白鳥警部がレストランに戻ってきた。
…村上の姿は何処にも無かったみたい。
やっぱり、この中に犯人がいるんだろう。


頭が痛い…。
フッと周りを見るとコナン君が皆のズボンの裾を見ていた。
何か…分かったのかな?
すると今度はレストランを出て行ってしまった。
暫く待っていると手に水を入れたトレイを持って帰ってきた。
そのコップを皆に渡して、飲む所を食い入る様に見つめている。



「あ…」


今の顔……分かったんだ。
事件が解けた時に見せる彼の格好良い顔が見えて。
その後に奈々さんの周りに行ってキョロキョロと何かを探してから、また笑ったから私は胸を撫で下ろした。
コナン君が事件を解いてくれるからきっと大丈夫。




頭痛がすう、と軽くなった様な気がしたと同時にくぐもった爆発音がして建物全体が揺れた。
突然の床の揺れに私は反応出来なくて、カウンターに倒れる様にしがみ付く。
揺れの原因の所為なのかまた停電が起こり、真っ暗闇になる。
この非常事態に警部さん達が大声を上げて次に狙われるだろう6の宍戸さんを守る様に、言っているのが聞こえた。
さっきまで近くに蘭がいたからまだ近くにいる筈…。



「蘭?」

「名前?」

「近くにいるね。怪我とかしてない?」

「うん、名前こそ大丈夫?」

「私も大丈夫だよ」


……よし、蘭の無事はオーケー。
まぁ、蘭の名前には数字が入ってないから狙われることはないと思うけど用心に越したことはない。

するとパッと光が点く。
非常灯が点いたんだ!
安心しているとすぐ近くで爆発が起きた。

そこって…海に続くガラスの!?
考えている間もなく大量の水が一気にレストラン内に入って来て、水に体を攫われた。
思いがけない水圧に動くことも出来ず、目もまともに開くことが出来ない。


「!?」


突然、水の流れに流されること無く体が動かなくなった。
足の圧迫感に驚いて下を見てみると、レストランに置いてあったフェラーリの前輪部分に足が挟まっていた。
腕を突っ張って足を抜こうとするけど、水中の所為なのか思う様に力が入らない。
普通に泳ぐ訳じゃなく力を入れているから酸素の減りが激しいし…状況としては最悪だ。
もっと長く水中で息を止めることが出来た筈なのに…。

息を限界まで止める為に両手で口を押さえる。
肺の中の酸素が無くなり苦しくなって来た。
数日前に見た夢を思い出す。
…きっと、正夢だったんだろうな。


遂に酸素が無くなり、鼻と口から体に大量の水が入って来る。
苦しい…っ苦しい!!
わたし……このまま死んじゃうのかな…。
水中じゃなかったら涙が見て取れたと思う。
息苦しさに気が遠くなって来た。
………くど…く…。

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