「で、オマエはどうなんだよ。」




ベッドの上。

流石によく見知った顔とはいえ初対面の男女、さらにはその大きな身体にびびったわけで・・・

強打した直後の足を擦りながら、出来るだけ、取れるだけの距離を取ろうとお尻の下の掛け布団をくしゃくしゃにしながら移動を試みる。壁に背中が当たればここで行き止まり。


目の前のお方は普通の様子で大きな欠伸を一つ。コキコキと首を鳴らし上半身を起こすだけの格好のまま開口一番こう言った。




どう?って何が?
感想って事?




長く垂れた前髪に目が奪われてまじまじと見つめる。だってだって、ゲームではなかったじゃない、髪の毛下ろしたスチル!
どれだけ見たかったか!!


「か・・・髪の毛、おろすと格好いいね?」


さらり、落ちた黒い髪の中でこめかみに力が入った。どうやら私の答えが見当違いだったらしい。穴が開くんじゃないかってくらい突き刺していた視線を慌てて外す。


これはまずい。


何だかわからないけど、一度見つめたら顔が離せなくなる癖に、何をどうしたらいいのかがわかんない。
聞く?どうしたの、って。これは普通に有り得ることなのって?


「もう忘れたのかよ、・・・たく、」


「馬鹿みたいに飲みやがって、」サイドテーブルの上に置かれたフルボトルの赤ワイン。薄ら残ったそれを持ち上げると、飽きれたようにちゃぷちゃぷとわざとらしく鳴らす。


「・・・見てたの?」


だっておかしいじゃない。間違いなく昨夜は1人酒。流石にこんなに大きな人間が部屋にいたら酔っ払ってても気が付くし、、、ってあれ?


「テメェが騒いだんだろ。慰めに来いだとか、3次元捨てるからそっち入れろとかよ。・・・で、騒いだ挙げ句放置しやがって。」


「聞いてたのっ!?」


「人聞き悪ぃ事言うんじゃねぇよ。オマエがコッチに向かって勝手に怒鳴ってたんだろが。」


つまり、
あの1人大騒ぎが筒抜けで挙げ句の果てに何だかわからないうちに二次元から召喚してしまった、と。


「よ、よくある事なの・・・です・・・かい?」


「誰の真似だ、コラ?」


皮肉に笑いながらずいっと近づいた顔にまた意識が奪われた。よくある事な訳ないじゃない。だってだってそんな話今まで聞いたことないし、第一今までシリーズ通してプレイしてたけど葉月君も佐伯君も誰一人として出てこなかった。


「で、返事は?」


「・・・返事?」


盛大なため息の後、がしがしと少し寝癖の付いた髪を掻き毟る。ほんのりと赤みがさした焼けた肌。躊躇うように身体を背けながらの言葉は、言いにくそうな表情に反して爆弾だった。





「俺の・・・女になるかって聞いてんだよ。」










はい?







back | next | list




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -