東野 はな。

今日は間違いなく人生ワースト3に入る最悪な1日だった。

楽しい金曜の夜、愚痴を言いたくても急には友人も捕まらない。

はらはらと涙を流して1人思い出に耽りながら落ち込む程乙女でもない。

浮気相手の胸ぐら掴み掛かりに行けるほどの勇気も行動力もない。


悲しいかな、永遠を誓い合ったはずの婚約者を浮気相手に取られた悲しきOLは、金曜の夜に1人きりでワインをラッパ飲みしながらゲームの中の二次元彼氏に慰めて頂いてましたとさ。





つか・・・こんな出来すぎた恋愛なんて、現実にあるわけないじゃん。

純愛?
ちゃんちゃら笑っちゃう。

高校生の恋愛なんて、数日から数か月の賞味期限。

在学中うまくいってたって大学入って他に良いヒトがいればぽいよ、ぽい。

それかお互いに別の世界が広がって、相手に干渉されるのが嫌になって「お互いの為にならないから〜」なんて綺麗事のオブラートに包んで、別枠の人間関係をまた築いていく。

身の回りの世界が変われば関わる人も変わる。世界が違ければ決して交わらないのが人と人。

袖触れ合うも多少の縁。
これ考えた人に東京名物満員電車に乗って頂きたい。同じ空間にいたって、世界は違う。触れ合ったくらいじゃ交わらない。交わりたいと願ったって、多少の縁くらいじゃどーにもならない。




今日は大好きな
『ときメモ』
にさえときめけない。


あっちはあっち

こっちはこっち





壁に当たり

世界を壊され

傷をつけられ

荒んだ大人は
夢を見ることさえ
出来なくなる。





カラに近づいたワインボトルに段々と意識を吸い取られ、遂に僅かな重さにすら腕がだるくなってベッド脇にDSを投げ出した。

明々と光を放ち続ける画面から微かに聞こえてくるのは、2次元の彼氏様の甘い甘い声。





もう、これ以上嘘は付きたくねぇ。お前が好きだ。
俺の女になってくれ。






現実は嘘ばかり。





甘い甘い嘘の世界にも酔えずにただアルコールに溺れてベッドの海に沈む。

指からタッチペンが零れ落ちた。



電源切らなきゃ
でももう駄目
動きたくない



返事保留、さらに放置な2次元彼氏には申し訳ないけど、このまま意識を飛ばさせて頂こうと思います。





でも、怒らないでしょ?
現実と違って。

待っててくれるでしょ?
永遠に。

例え電源が切れて
何も無くなっても
またやり直せる。





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