あぁ・・・昨夜は軽く聞き流してすみませんでした。全力で謝ります。
その何度も聞いた言葉が、こんなにも破壊力のある言葉だったなんて。





もう、これ以上嘘は付きたくねぇ。お前が好きだ。




俺の女になってくれ。





初めて聞いた時、心臓を鷲掴みされたあの告白。
でも、何度も何度もクリアしていくうちに気が付けば段々と破壊力は削られていった。毎回同じ台詞だし。



そして
荒んだ昨夜は初放置。



でもこうやって目の前で言われたら、色々凄い。

聞こえるのは破裂するんじゃないかって位に弾ける心臓の音。それは背中に触れた壁にまで伝わって、部屋が揺れてるんじゃないかって思うほど。



ぜひぜひ喜んでっ!!



口を動かそうとしたところで、低い声が私の言葉を遮った。





「全部捨てる覚悟があんなら、こっち捨てて俺の所に来い。」





・・・全部









ーーー♪♪♪

理解できない言葉に呆気に取られた私の耳に入ってくるのはいつもの着信音。
ぽい、と大きな手から投げられた携帯のディスプレイを見るなり、今までの興奮の波が一気に音を立てて引いた。


まずい、待ち合わせしてたんだっ!!


慌てて通話ボタンを押せば聞きなれた友人の声。当然と言うかなんというか怒っている訳で、見えない相手に何度も頭を下げ「すぐ行く」と電話を切った。


「ちょっ、ごめん!!話は後で聞くからっ!!」


「おいっ、」


「すぐ帰ってくる、あっ!着替えるからあっち向いてて!」


舌打ち1つ聞こえて窓に視線を移した事だけ確認すると傍に出てた適当な服を着こみ、慌てて玄関へ走る。コンビニに行くだけならこれで十分と、途中洗面所で顔を洗って髪を纏める。
これでざっと15分。

玄関でスニーカーに足をつっこむと、余りにも物音がしなくてまた夢なんじゃないかと振り返った。


「琥一くん?」


「・・・。」





夢?

でも、つい先ほど爆弾を浴びた心臓は変わらず早い。





「琥一くん、いるっ!?」






「でけぇ声だすんじゃねぇって、聞こえてんよ、」


ぶっきらぼうな声が見えない奥の部屋から返ってきてやっぱり心臓がおかしくなる。





いる。



間違いなくいる。





「絶対っ、絶対にすぐに帰ってくるから帰ってくるまで消えないでっ!!」





「はぁ?消えっかよ。」





小さな声が聞こえて重いドアを閉めた。





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