ダメだ。 考えちゃダメだ。 リアル過ぎる。 刺激も強い。 昨日の今日で朝から頭がいっちゃってるらしい。二日酔いも相まって頭痛もするし、下手すればまだ酔ってるか現実逃避からの幻覚って可能性もある。 でも・・・押し付けられた胸板からは人間の鼓動が聞こえてくる。 夢?夢なら、次に目覚めたらこの美味しい状況は消えてなくなるの? 「それは嫌っ!!」 ガバッと勢いよく起き上がると弾みで掛け布団が捲れあがり、隣の塊が寒さに眉間にシワ寄せた。 うわ・・・その顔。 物凄く知ってる。 「・・・桜井琥一くん?」 「ンだよ・・・もうちっと寝かせろって。」 「寝ちゃだめ!覚める!」 「はぁ?オマエ・・・何言って・・・」 「と、とにかく起きよう!」 慌ててベッドから飛び降りると、勢い余ってサイドテーブルの角にガツンと小指をぶつけて思わずその痛さに床にひざまづいた。 「〜〜〜っ!!!!」 「・・・なにやってんだ、」 痛い・・・痛いけど。 あまりの激痛に涙で潤んだ視界でベッドを見上げればやっぱりまだそこにいる。 はぁ、とため息付きの呆れ顔と向き合った。 「〜っ!!夢じゃ・・・ないのっ!?」 「オマエ・・・さっきっから何わけわかんねぇ事ばっか言ってんだよ?」 ほら、立て。と身体を持ち上げられようやく対峙した現実に目眩がする。そして2次元の彼氏様の登場に否応なしに鼓動が早くなる。 何で、どうして、と聞いてしまえば全てが消えてしまうんじゃないかと思ってしまうような、とびきり繊細な夢に限りなく近い真実。 「こここっ、琥一くん?」 「あ゙っ?」 「私の、名前・・・呼んでみて?」 「はぁっ!?なんでだよ、今さら。」 「いいからっ!早くっ!」 「・・・はな。これでいいか。」 「じゃあ、じゃあ、私の事好きっ!?」 「言うか馬鹿。」 チッと小さく舌打ちしながら赤い頬を隠すように視線を外す。 その顔も その声も その表情も その態度も その仕草も 間違いなく私が知っている2次元のカレだった。 −−−続く back | next | list |