『あったかい…』
市街地の少し奥。
草原が春風に揺られ、彼女のプラチナブロンドも柔らかく靡いた。
『リヴァイさんと私が出会ったのは、夏でしたよね。』
「ああ、」
『私きっと、あの時から一目惚れでした。貴方に会った、あの瞬間から。』
腰を下ろして、可愛らしく笑う。
……そんな仕草もまた、なまえそのものだった。
『ねぇリヴァイさん、私、これから何年経っても貴方の隣に居たいです。』
「!」
『私を、お側に置いてくださいますか?』
隣に腰を下ろして、その手を握る。
その手はあの頃のまま、小さくてか弱かった。
「当たり前だろ。俺にはお前しか見えていないと言ったはずだ。」
『、嬉しいです。』
はにかむなまえの身体を抱き締めて、その小さな唇に口付けを落とす。
いつまでこうしていられるだろうか、
またこいつは帰ってしまわないか、
そんなことばかりが脳裏を掠める。
でも、こうして俺達はまた世界を越えて会えた。離れるつもりなんかないし、手放すつもりもない。
「俺のことだけ見てろ。…俺が、一生お前の隣に居る。」
『…、はいっ…』
そう告げて、
もう一度深く口付けを落とす。
その口付けは、優しい涙の味がした。
「愛している、なまえ。」
抱き締め合う二人の胸元に光るのは、いつか交わした約束の証。
金と銀の、翼だった。
end.
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