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それからカフェに入り、俺はチョコレートパフェを頼んだ。カフェって言ったらやっぱこれだろ。ここのカフェはスイーツ専門店だから美味いんだよなー。

鈴はミルクティーとティラミスを注文した。甘いものはそこまで嫌いではないらしい。かと言って好きでもないらしい。


「卓斗ってミステリアスなんだよなー。まさか年下の彼女がいたなんてびっくりしたし」

「ねぇ。何でウチなんか好きになったの?」


唐突の質問に俺は答えられなかった。アルバイトっぽい店員がミルクティーとコーヒーを置く。店員が去っていくのを見て、俺は口を開いた。


「好きだから好きなんだよ。きっかけなんて忘れた。それぐらい好きになってた」

「…ウチなんか可愛くないじゃん。反対に男っぽいし。慶馬はモテるしカッコイイし、どうして?」


いつもと違ってどこか寂しげな表情。凛とした強さがない。ヤバい、かわいいと思う俺はバカ?しかも、鈴にカッコイイとか言われたことにめっちゃ喜びを感じるっ!いやいや、今はそんなことより。


「どうしてって…。俺が鈴を好きになっちゃいけないのか?」

「うん」


うん。ってオイィィイ!
そこ、即答しちゃ駄目だろ!せめて、別にいけない訳じゃないけど…ってぐらい言ってくれよ!何これ、俺すごく空回りじゃん!


「……あ、ごめん。‥‥ウチ、多分どこかで慶馬に憧れてた。だからかな、嫌いでもあった。そんな慶馬が今、ウチの目の前にいて、その、ウチの……彼、氏ってのが信じられないんだ」


ミルクティーを見つめながら語る鈴はとても儚くて、抱きしめたい衝動にかられた。抱擁だけはしてくれるからな。

にしても。ヤバい。顔がニヤける。鈴にそんな風に想われていたなんて。それに、鈴から彼氏という言葉が聞けれるなんて、俺は幸せ者です。


「そっか」


それを聞いて鈴は少し上目遣いで俺を見ると、小さく微笑んだ。それ、反則!!欲求不満の俺にそんな笑顔をするな!いや、俺だけにしろ!
って何を言ってんだよ、俺!

間を置いて、色鮮やかなチョコレートパフェがやってきたので俺は早速口に運ぶ。この時食べたチョコレートパフェは、いつもより数倍甘く感じてかなりうまかった。

また鈴とこのカフェに来よう。次はカップル用のパフェでも頼もうかな、なんて考えながら。

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