3/6 それからカフェに入り、俺はチョコレートパフェを頼んだ。カフェって言ったらやっぱこれだろ。ここのカフェはスイーツ専門店だから美味いんだよなー。 鈴はミルクティーとティラミスを注文した。甘いものはそこまで嫌いではないらしい。かと言って好きでもないらしい。 「卓斗ってミステリアスなんだよなー。まさか年下の彼女がいたなんてびっくりしたし」 「ねぇ。何でウチなんか好きになったの?」 唐突の質問に俺は答えられなかった。アルバイトっぽい店員がミルクティーとコーヒーを置く。店員が去っていくのを見て、俺は口を開いた。 「好きだから好きなんだよ。きっかけなんて忘れた。それぐらい好きになってた」 「…ウチなんか可愛くないじゃん。反対に男っぽいし。慶馬はモテるしカッコイイし、どうして?」 いつもと違ってどこか寂しげな表情。凛とした強さがない。ヤバい、かわいいと思う俺はバカ?しかも、鈴にカッコイイとか言われたことにめっちゃ喜びを感じるっ!いやいや、今はそんなことより。 「どうしてって…。俺が鈴を好きになっちゃいけないのか?」 「うん」 うん。ってオイィィイ! そこ、即答しちゃ駄目だろ!せめて、別にいけない訳じゃないけど…ってぐらい言ってくれよ!何これ、俺すごく空回りじゃん! 「……あ、ごめん。‥‥ウチ、多分どこかで慶馬に憧れてた。だからかな、嫌いでもあった。そんな慶馬が今、ウチの目の前にいて、その、ウチの……彼、氏ってのが信じられないんだ」 ミルクティーを見つめながら語る鈴はとても儚くて、抱きしめたい衝動にかられた。抱擁だけはしてくれるからな。 にしても。ヤバい。顔がニヤける。鈴にそんな風に想われていたなんて。それに、鈴から彼氏という言葉が聞けれるなんて、俺は幸せ者です。 「そっか」 それを聞いて鈴は少し上目遣いで俺を見ると、小さく微笑んだ。それ、反則!!欲求不満の俺にそんな笑顔をするな!いや、俺だけにしろ! って何を言ってんだよ、俺! 間を置いて、色鮮やかなチョコレートパフェがやってきたので俺は早速口に運ぶ。この時食べたチョコレートパフェは、いつもより数倍甘く感じてかなりうまかった。 また鈴とこのカフェに来よう。次はカップル用のパフェでも頼もうかな、なんて考えながら。 [しおりを挟む] [mokuji] |