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やってしまった。
床にはたくさんのプリントが散乱している。ファイルを落として、このようになってしまった。

急いでいる時に限って、こうなるんだよね……。

ご親切な方々は私のプリントを拾って下さっている。
なんて優しいんだろう……!


「はい」

「ありがとー!」


親切で優しい女の子からプリントを受け取る。
一枚だけ遠くに落ちたプリントを見付けて、それを拾いに行こうとしたら、誰かが拾ってくれた。

無言で私に差し出す。
私はお礼を言おうと顔を上げる。


「ありが……とう」


その人は私の気になる人で。
何て言えばいいか、思わず固まってしまった。

まさか君が拾ってくれたなんて。
それだけで胸がいっぱいになった。

と、そんなときめいている場合じゃない。電車の時刻がギリギリなんだ、早く行かなくては!

プリントをファイルに入れて急いで教室を出ていく。
今日はちょっといい気分だから次の電車でもいいかな、と思いながら。




「どうした?」

「いや‥‥何でも」


あの時、何か言った方が良かったか?と言っても今更だしなあ。

友達と一緒に駐輪場まで歩きながら先程までのことを振り返る。しばらくあの人を見てたもんだから、友達が不思議に思ったようだ。

あの人を見てたってのは、気付いてないみたいだけどな。


「今日、コンビニ寄ってく?」

「そうだな」





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