2/3 やってしまった。 床にはたくさんのプリントが散乱している。ファイルを落として、このようになってしまった。 急いでいる時に限って、こうなるんだよね……。 ご親切な方々は私のプリントを拾って下さっている。 なんて優しいんだろう……! 「はい」 「ありがとー!」 親切で優しい女の子からプリントを受け取る。 一枚だけ遠くに落ちたプリントを見付けて、それを拾いに行こうとしたら、誰かが拾ってくれた。 無言で私に差し出す。 私はお礼を言おうと顔を上げる。 「ありが……とう」 その人は私の気になる人で。 何て言えばいいか、思わず固まってしまった。 まさか君が拾ってくれたなんて。 それだけで胸がいっぱいになった。 と、そんなときめいている場合じゃない。電車の時刻がギリギリなんだ、早く行かなくては! プリントをファイルに入れて急いで教室を出ていく。 今日はちょっといい気分だから次の電車でもいいかな、と思いながら。 「どうした?」 「いや‥‥何でも」 あの時、何か言った方が良かったか?と言っても今更だしなあ。 友達と一緒に駐輪場まで歩きながら先程までのことを振り返る。しばらくあの人を見てたもんだから、友達が不思議に思ったようだ。 あの人を見てたってのは、気付いてないみたいだけどな。 「今日、コンビニ寄ってく?」 「そうだな」 > [しおりを挟む] [mokuji] |