3/13 * 「真紀、朝よ! 起きなさい!!」 真紀の母親の声が下の階から聞こえた。しかし真紀は瞼が重く中々起きれない。それに体がダルい。 低血圧の人は寝起きが悪く、目覚めが悪いと機嫌も悪くなる。 「ぁあ眠い‥‥」 ダルそうにベッドから起き上がると時間を確認した。 今の時刻午前八時。 「ヤバい」 真紀の家から学校までの距離が結構あるので、7時50分ぐらいには家を出ないと間に合わない。今までにないぐらいの物凄いスピードで着替えを済ませ、朝食は取らないまま家を出ていった。 思いっきり自転車を飛ばしてこぐ。予鈴の音が聞こえたような気がする。 今まで遅刻なんてしたことなかったのに!! どうして今日は寝坊なんかしたんだろ……。 あー駄目だ。何も考えたくない。 正門をくぐった後、チャイムが鳴った。果たしてこれは本鈴なのだろうか。自転車を駐輪場に置いて走って校舎へ入る。出入口の所で先生が走れよーと言っている。 良かった、まだ予鈴が鳴っただけなんだ。 私が聞いたチャイムは近くの学校だったのかも。 はたまた空耳だったんだなと思いながら階段を上がっていく。 すると目の前に障害物が。 突如現れた物体に、真紀は対処できなくてつまずいてしまう。 ドタッと鈍い音がした。上へ上っていく生徒たちは、ちらっと真紀を見て教室へ入っていく。 「ごめん。……大丈夫?」 うぅとうめきながら顔を上げると、知っている顔がそこにいた。 「清水くん……。これ、清水くんの?」 真紀は体を起こしながら制服をはたいて、物体・体操服が入っていると思われる袋を、前にいる清水秀へ渡す。 「そう。滑って落ちた」 はぁと溜め息をつくとチャイムが鳴った。 『あ』 [しおりを挟む] [mokuji] |