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「真紀、朝よ! 起きなさい!!」


真紀の母親の声が下の階から聞こえた。しかし真紀は瞼が重く中々起きれない。それに体がダルい。
低血圧の人は寝起きが悪く、目覚めが悪いと機嫌も悪くなる。


「ぁあ眠い‥‥」


ダルそうにベッドから起き上がると時間を確認した。
今の時刻午前八時。


「ヤバい」


真紀の家から学校までの距離が結構あるので、7時50分ぐらいには家を出ないと間に合わない。今までにないぐらいの物凄いスピードで着替えを済ませ、朝食は取らないまま家を出ていった。

思いっきり自転車を飛ばしてこぐ。予鈴の音が聞こえたような気がする。


 今まで遅刻なんてしたことなかったのに!! どうして今日は寝坊なんかしたんだろ……。
あー駄目だ。何も考えたくない。


正門をくぐった後、チャイムが鳴った。果たしてこれは本鈴なのだろうか。自転車を駐輪場に置いて走って校舎へ入る。出入口の所で先生が走れよーと言っている。


 良かった、まだ予鈴が鳴っただけなんだ。
私が聞いたチャイムは近くの学校だったのかも。


はたまた空耳だったんだなと思いながら階段を上がっていく。
すると目の前に障害物が。
突如現れた物体に、真紀は対処できなくてつまずいてしまう。

ドタッと鈍い音がした。上へ上っていく生徒たちは、ちらっと真紀を見て教室へ入っていく。


「ごめん。……大丈夫?」


うぅとうめきながら顔を上げると、知っている顔がそこにいた。


「清水くん……。これ、清水くんの?」


真紀は体を起こしながら制服をはたいて、物体・体操服が入っていると思われる袋を、前にいる清水秀へ渡す。


「そう。滑って落ちた」


はぁと溜め息をつくとチャイムが鳴った。


『あ』

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