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それから休日は除きほぼ毎日紫音は卓斗しか知らないはずの海に来ていた。

やはりそう簡単には海に触ることが出来なかった。何度も何度も挑戦してみるが、中々触れることが出来なかった。

一週間余りが経った頃。今日は珍しく卓斗が先に海へ来ていた。


「よっ、栗原!」

「……神谷君。今日は早いんだね」

「ああ、そうみたいだな」


卓斗は紫音の元へ歩いてきて、手を差し出した。彼女は首を傾げて彼を見る。


「何?」

「今日は手を繋いで海に近付いてみようぜ」


彼女は頷いて彼の手を握った。
ゆっくりと海に近付く。彼女がしゃがんで恐る恐る手を伸ばした。

もう少し…もう少し…。


「‥‥‥‥‥‥あ」


遂に海に触ることが出来た。


「やった! やったじゃねぇか栗原!!」

「うん!!」


2人は喜んだ。とても喜んだ。
その日紫音は素足で海に入れるぐらいまでになっていた。

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