5/7 「……半分俺が持とうか?」 思いがけない言葉に一瞬戸惑った。 倉橋ってこんなタイプだったか?でもまぁ手伝ってくれるなら頼むか。一人で職員室まで行くのも何だしな。 「じゃあ任せる」 私は倉橋に紙束の半分より少し多めにを渡した。男の方が力強いしな、それぐらいいいだろと思いつつ。 「最近彩ちゃんってどんな感じ?」 階段を下りていく途中、倉橋が話しかけた。私は眉をひそめた。 「どんな感じって‥‥。お前まだ彩のこと諦めてなかったのか」 「ちっちげーよ!……何かお前らの仲が悪くなったような気がするから…」 最後の方は呟くように言ったので聞き取りにくかったが、かろうじて聞き取った。 意外と観察力あるなコイツ。 「そんなことないよ。倦怠期って奴かな」 「倦怠期って、おいおい」 倉橋は微笑した。私は初めて男が笑う顔を近くで見た。前髪は無造作に分けてあって肩につかないぐらいの短さ。どことなくひとなつっこくて、可愛らしい。 「ん?どうした?」 「……何でもない」 [しおりを挟む] [mokuji] |